打撃に苦戦する高卒野手を一軍で使い続けると打てない選手に育つ?
はじめに
千葉ロッテマリーンズの松川さんが田村や銀仁朗、實松あたりを引き合いに出して二軍で打撃を鍛えろと言われているのをよく見るので、過去の打撃に苦戦する高卒野手のデータを調べてみました。
今回は2005年以降に高卒3年目までに1軍で100打席以上立ち、打率.250を下回った選手を『該当者』としたうえで、.250を上回った選手と一緒に羅列することで何か共通点を見出せないかという寸法です。
成績目視の手打ちなので抜けてる選手や数字のミスがあるかもしれません。
各年リスト
2005年
該当者なし
.250超えは1名。
※西岡剛(3年目)
.268(447-120) 4本 48打点 OPS.714
2006年
該当者1名
炭谷銀仁朗(1年目)
.181(138-25) 3本 14打点 OPS.483
2007年
該当者1名
陽仲壽(2年目)
.239(109-26) 0本 10打点 OPS.608
2008年
該当者1名
陽仲壽(3年目)
.144(111-16) 2本 4打点 OPS.409
.250超えは3名。
※坂本勇人(2年目)
.257(521-134) 8本 43打点 OPS.650
※川端慎吾(3年目)
.260(104-27) 1本 9打点 OPS.621
※平田良介(3年目)
.268(97-26) 1本 9打点 OPS.641
2009年
該当者なし
.250超えどころか3割超えが1名。強い。
※坂本勇人(3年目)
.306(581-178) 18本 62打点 OPS.823
2010年
該当者1名
中田翔(3年目)
.233(210-49) 9本 22打点 OPS.687
2011年
該当者2名
筒香嘉智(2年目)
.241(145-35) 8本 22打点 OPS.782
杉谷拳士(3年目)
.185(92-17) 0本 7打点 OPS.482
.250超えは1名。
※浅村栄斗(3年目)
.268(437-117) 9本 45打点 OPS.709
2012年
該当者5名
堂林翔太(3年目)
.242(488-118) 14本 45打点 OPS.716
筒香嘉智(3年目)
.218(386-84) 10本 45打点 OPS.661
今宮健太(3年目)
.238(343-73) 2本 14打点 OPS.557
西川遥輝(2年目)
.239(134-32) 2本 13打点 OPS.654
髙城俊人(1年目)
.170(106-18) 0本 0打点 OPS.452
2013年
該当者5名
大谷翔平(1年目)
13登板(11先発) 61.2回
4.23 3勝0敗 46奪三振
.238(289-45) 3本 20打点 OPS.660
駿太(3年目)
.199(201-40) 3本 12打点 OPS.530
高橋周平(2年目)
.249(197-49) 5本 27打点 OPS.691
江村直也(3年目)
.171(117-20) 0本 7打点 OPS.385
髙城俊人(2年目)
.136(110-15) 0本 4打点 OPS.361
また、この年は.250超えが2人。
※山田哲人(3年目)
.283(350-99) 3本 26打点 OPS.711
※西川遥輝(3年目)
.278(281-78) 2本 26打点 OPS.729
ちなみに永江恭平(2年目)は92打席でした。
.141(78-11) 1本 3打点 OPS.446
2014年
該当者2名
田村龍弘(2年目)
.156(128-20) 0本 10打点 OPS.426
永江恭平(3年目)
.182(88-16) 0本 3打点 OPS.487
また、この年は.250超えが4人。
※大谷翔平(2年目)
24登板(24先発) 155.1回
2.61 11勝4敗 奪三振179
.274(212-58) 10本 31打点 OPS.842
※近藤健介(3年目)
.258(264-68) 4本 28打点 OPS.682
※高橋周平(3年目)
.257(144-37) 6本 14打点 OPS.744
※桑原将志(3年目)
.257(144-37) 1本 13打点 OPS.690
ちなみに森友哉(1年目)は92打席でした。
.275(80-22) 6本 15打点 OPS.945
2015年
該当者3名
田村龍弘(3年目)
.170(305-52) 2本 32打点 OPS.480
関根大気(2年目)
.222(144-32) 1本 10打点 OPS.588
大谷翔平(3年目)
22登板(22先発) 160.2回
2.24 15勝5敗 196奪三振
.202(109-22) 5本 17打点 OPS.628
.250超えは3名。
※森友哉(2年目)
.287(474-136) 17本 68打点 OPS.825
※鈴木誠也(3年目)
.275(211-581) 5本 25打点 OPS.732
※淺間大基(1年目)
.285(130-37) 0本 10打点 OPS.683
2016年
該当者5名
若月健矢(3年目)
.227(229-52) 0本 20打点 OPS.543
オコエ瑠偉(1年目)
.185(119-22) 1本 6打点 OPS.527
淺間大基(2年目)
.191(110-21) 1本 9打点 OPS.492
横田慎太郎(3年目)
.190(105-20) 0本 4打点 OPS.430
関根大気(3年目)
.204(98-20) 0本 7打点 OPS.470
.250超えは1名。
※森友哉(3年目)
.292(349-102) 10本 46打点 OPS.803
2017年
該当者は2名
平沢大河(2年目)
.176(119-21) 1本 3打点 OPS.458
清水優心(3年目)
.198(111-22) 1本 10打点 OPS.492
.250超えは1名。
※オコエ瑠偉(2年目)
.300(130-39) 3本 11打点 OPS.831
2018年
該当者4名
平沢大河(3年目)
.213(353-62) 5本 32打点 OPS.657
清宮幸太郎(1年目)
.200(160-32) 7本 18打点 OPS.665
廣岡大志(3年目)
.209(115-24) 2本 10打点 OPS.553
オコエ瑠偉(3年目)
.198(111-22) 2本 6打点 OPS.553
ちなみに西巻賢二(1年目)は82打席でした。
.247(77-19) 0本 3打点 OPS.561
2019年
該当者4名
ここに村上が入るのは欠陥としか言いようがない。
村上宗隆(2年目)
.231(511-118) 36本 96打点 OPS.814
清宮幸太郎(2年目)
.204(250-51) 7本 33打点 OPS.610
西浦颯大(2年目)
.195(220-43) 1本 18打点 OPS.494
小園海斗(1年目)
.213(188-40) 4本 16打点 OPS.565
2020年
該当者4名。
安田尚憲(3年目)
.221(393-87) 6本 54打点 OPS.647
清宮幸太郎(3年目)
.190(226-43) 7本 22打点 OPS.623
小幡竜平(2年目)
.220(127-28) 0本 7打点 OPS.515
濱田太貴(2年目)
.200(100-20) 3本 7打点 OPS.568
.250超えは2名。1人は3割超え。
※村上宗隆(3年目)
.307(424-130) 28本 86打点 OPS1.012
※藤原恭大(2年目)
.260(96-25) 3本 10打点 OPS.707
2021年
該当者8名
紅林弘太郎(2年目)
.228(448-102) 10本 48打点 OPS.603
藤原恭大(3年目)
.217(217-47) 5本 22打点 OPS.651
山口航輝(3年目)
.207(228-42) 9本 20打点 OPS.658
根尾昂(3年目)
.178(169-30) 1本 16打点 OPS.482
太田椋(3年目)
.172(151-26) 3本 9打点 OPS.439
万波中正(3年目)
.198(126-25) 5本 13打点 OPS.638
森敬斗(2年目)
.194(103-20) 0本 5打点 OPS.513
羽月隆太郎(3年目)
.255(102-26) 1本 11打点 OPS.662
.250超えは3名。
※小園海斗(3年目)
.298(449-134) 5本 35打点 OPS.718
※野村佑希(3年目)
.267(371-99) 7本 37打点 OPS.664
※林晃汰(3年目)
.266(357-95) 10本 40打点 OPS.693
2022年(8月19日時点)
途中成績のため、.250超えか否かは関係なく載せておきます。
岡林勇希(3年目)
.283(403-114) 0本 23打点 OPS.669
長岡秀樹(3年目)
.239(380-91) 7本 39打点 OPS.611
紅林弘太郎(3年目)
.228(346-79) 6本 30打点 OPS.605
内山壮真(2年目)
.230(135-31) 1本 12打点 OPS.628
中山礼都(2年目)
.198(131-26) 0本 3打点 OPS.440
石川昂弥(3年目)
.225(129-29) 5本 19打点 OPS.545
松川虎生(1年目)
.176(125-22) 0本 12打点 OPS.459
森敬斗(3年目)
.189(95-18) 1本 5打点 OPS.469
武藤敦貴(3年目)
.250(88-22) 1本 9打点 OPS.698
なんとなく見えてくる傾向
なんとなく見えてきたこととしては、OPSが一度でも5割を切っている選手はその後も伸び悩んでいる傾向にあるように見える。
該当するのは炭谷、陽、杉谷、髙城、永江、田村、淺間、横田、関根、平沢、清水、西浦、根尾、太田の14人と2022年8月19日時点で中山、松川、森の3人。
この中で100打席以上立った年にOPSが7割を超えた経験がある選手は陽(7回)、炭谷(1回)の2名のみ。
しかし、炭谷がOPS7割を超えたのは138打席しか立っていない2019年のみであり、300打席以上立った年に限定すると、OPS6割を超えたのも2017年の1回のみである。
参考:炭谷銀仁朗(14年目)
.262(126-33) 6本 26打点 OPS.746
一方で唯一打撃で結果を残していると言ってもよい陽岱鋼(旧:陽仲壽)はOPS4割台の前年に.608をマークしていることや、2軍成績では2007年より2008年のほうが好成績であることを言い訳にできなくもない。はず…
また今回は100打席を基準に(一部例外有)したため、リストからは漏れているものの、2年で通算110打席に立ち、両年、通算OPSが5割を切っていながら後に結果を残した選手も存在することは頭に入れておきたい。
参考:近藤健介(1年目)
.192(26-5) 0本 2打点 OPS.434
参考:近藤健介(2年目)
.152(66-10) 0本 2打点 OPS.421
ということは単年100打席立たなければギリギリセーフ…?
おわりに
時折才能の片鱗を見せつけるバッティングも魅せてくれる今季で(人生)19年目を迎える松川さんですが、1軍で起用しながら打撃を順応させ、鍛えていくスタイルで育てていくのは至難の業でもありそうでした。
さらに100打席以上立ち、OPSが4割台でシーズンを終えてしまうと、今後も苦戦しやすいという傾向も見えてきてしまい、ちょっとショックを受けました。
ついでに1年目の安田でもOPS.514だったことにも偶然気づいてしまい、素直に驚きました。期待の大砲今こそヒーローやってた頃の安田よりは松川さんが打てているという印象が強かったので…
と思って月別成績見てみたら6月以降の松川さんは.520程度打っていました。
まだ未来の主砲、未来の4番として期待されていた頃の安田が二軍でルーキーとしては堂々の結果を残してシーズンの終盤で一軍に上がり、松川さんくらいの成績だったことを考慮すれば、松川さんのセンスを活かして一軍でキャッチャーとしてのスキル・経験と共に打撃も磨いていく、新たな育成モデルを開拓しようとしているのではとも感じます。(考えすぎ?)
まあ、田村龍弘さんの身体が丈夫なら松川さんも普通に下でプレイしていたとも思うんですけどね…
でもOPS4割台で終わるとなんか怖いので松川さんには頑張ってOPSを5割に乗せてほしいなと思います。そして3年以内には6割台へ乗せてほしい。ここがまとめたデータを見る限り第一の壁っぽいので。(大河安田藤原山口の全員3年以内に達成してるんだけどな…第二の壁…)
結局2軍でしっかり鍛えても1軍で結果を残せるとは限らないと安田が今のところ証明してしまっていますしね。悲しいなぁ。
パワプロのペナントみたいに練習させたり試合に出してれば必ず育つとかならいいんですけどね。応援している若手がみんな育つから楽しいですよ。ゲームの世界は。
まとまっているんだかまとまってないんだか自分でも分かりませんが、とりあえずここで終わります。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。