セルフマネジメントとしての5S
ビジネススキル講座の様々なコンテンツのなかで「一番ためになった」という声が多いのが5S術です。すぐに使えて、すぐに役立つから自分にとって便利。お仕事の専門分野は様々でも、その共通土台として汎用性があるから、友人にも伝えやすい。よく聞く5Sの効果です。
製造メーカーで、しかもモノづくり系のお仕事をしていないと、5Sという概念に触れることは少ないかもしれません。整理・整頓・清掃・清潔・躾という日本語がすべてSから始まることから、5Sと呼ばれています。モノづくりのノウハウがどんな仕事にも適用できるのは、仕事とは何かを作り出すことだからです。
その一つ、一つを簡単に説明していきます。熟知されている方は読み飛ばして下さい。
整理とは捨てること
整理とは必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てること、です。不要なものを捨てる、まで含めて整理です。不要なものを「いつか使えるかも」と取っておいては、整理したことにはなりません。
我が家でもようやくキッチンキャビネットの整理をしました。断捨離好きのお友達が来て指導してくれました。私は立ち会いませんでしたが、Before Afterにはビックリしました。それまで捨てることに抵抗を感じていた妻(も私)も、そのスッキリさに魅了され、これまで何を後生大事しまっておいたのか、思い出せないほどでしたw。
整頓とは置き場を決めて表示すること
整理ができたら、次は必要なものがすぐに取り出せるように、置き場所、置き方を決め、表示を確実に行いましょう。表示が大切なのは、ぱっと見てすぐわかるからです。生産性の高い工場を見学すると、その整頓具合で生産性が想像できます。
ラベルシールを貼ったりするのは、インテリアにそぐわないと思う方は、表示に工夫するいいでしょう。おしゃれなレタリングやシールも安価で購入できます。
清掃とは細部まで点検すること
整頓ができたら、次は清掃です。清掃とは、掃除をして、ゴミや汚れのないきれいな状態にすると同時に、それが行き届いているか細部まで点検することです。その場所で生活(仕事)をしていれば、ゴミや汚れが出てきます。そのままにせずさっと清掃する。しかも直接的には関係なさそうなところ、例えばオフィスでいえば共有の会議テーブルなども、一緒にさっと清掃してしまいましょう。
溜めれば溜めるほど、清掃が嫌になります。昨日、たまたま家の周りに鬱蒼と張り出した木々を伐採しました。一日がかりの大仕事でクタクタになってしまいました。去年は秋の伐採をサボったので、夏の時期にはせっかくの飾り木が台無しでしたし、その分、昨日は溜めてしまったことを本当に後悔しました。こんな私がいうと説得力がありませんが、清掃はこまめがよいです。
清潔とは維持すること
整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいで整った状態をつくったら、それを維持する。これが清潔の意味です。拙宅の飾り木は清潔ができていませんでした。ちょっとずつ行えばかかる時間は僅かです。一日がかりの大仕事でクタクタになった私は、これに懲りて清潔にもっと注意を払うようになるでしょう。妻からの督促が必要かもしれませんが…。
躾とは習慣づけること
整理・整頓・清掃・清潔を習慣づける。これが躾の意味です。身を美しくと書く躾。習慣づけが自分や自分の身の周りを美しくしてくれる。習慣づけは「言うは易く行うは難し」という諺の代表例のようなもの。簡単ではありません。でも必要です。
自分だけで習慣づける自信がなければ、他の何かに頼りましょう。チェックシートもいいでしょう。私のように背中を押してくれる誰かを設定するのもいいでしょう。有言実行の効いを用いて、宣言してしまうのもGoodです。
スティーブ・ジョブズも5SでAppleを立て直した
苦境に立つAppleに復帰したスティーブ・ジョブズは、製品群の多さに唖然としたといいます。膠着する議論に腹を据えかね、白板に十字を書くと、プロ用とアマ用、ラップトップとデスクトップという2軸に基づき、それぞれ一つに絞り込むよう指示した、と。有名な話です。これも整理の一例ですね。
日本が誇る新幹線も5Sが支えている
一時期、ビジネスシーンで話題になったJR東日本テクノハート、通称TESSEIの仕事振りは、何度見ても感動します。新幹線のプラットフォームで毎回見かける光景は、5Sの大切さを再認識させてくれます。ハーバード・ビジネス・スクールでも事例として紹介されたと聞きます。
そのチームづくりをなさった矢部輝夫さんの書籍「奇跡の職場」は、Kindle unlimitedにも含まれています。ご興味のある方はお読み下さい。
他にもニューヨーク市の犯罪率減少に繋がった「割れ窓理論」にも5Sの考え方が通底しています。
シンプルだけど応用範囲が広く効果が期待できる、こういうフレームワークが私は大好きです。最初に重い腰を上げる、そして習慣づける、ここに少々の労力が要りますが、これが自動化され無意識下でも稼働するようになれば、ルーキーの皆さんにとって強力な武器になるでしょう。
5Sのスッキリ感を体験しよう!
身近で軽いところからで構わないので、まずは5Sを体験し、そのスッキリ感を味わって欲しいです。まずは整理整頓ですね。着手しやすいのは、メールです。いつもきちんとフォルダー管理している方以外は、まずここから始めてみて下さい。重要なのは「要不要を分け」、「不要を捨てる」です。ゴミ箱かアーカイブ。「いつか見るかも」の未読はストレスや見落としの元。一気にやってしまいましょう。
オフィスのデスク周りや引き出しも着手しやすいですね。フリーアドレス化が進んであまり見かけなくなりましたが、紙の山がもしあれば無くしましょう。デスクに出しっぱなしのファイルは本当に必要なものだけ残して捨ててしまいましょう。引き出しもこの際、大掃除。
自宅の書棚もいいですね。リファレンスとして残して置きたいもの、何度も読み返したい著者のもの、買っていつか読もうと思っていたもの…。要不要の選択が難しいでしょうが、書棚から溢れているなら過多だと思い、整理整頓してしまいませんか?【読みたい時】【すぐに】読みたい本ってどれくらいありますか?本は図書館でも借りられます。著名な書籍はサマってくれているブログもあります。電子書籍派への転向という手もあります。
整理整頓で身の回りがスッキリすると、心もスッキリします。そのスッキリ感が自分をエネルギッシュに、そしてクリエイティブにしてくれますよ。その感覚をぜひ体験して頂きたいです。
次回は仕事そのものの整理整頓術について書きます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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