プラウド・トゥ・フォール/新しいフェーズへ
Ian McCulloch - Proud to Fall
★★★
★★★
夢を見た。ひどく奇妙な夢。
目が覚めてスマホの時計を見た。午前4時44分。そして脳内でこの曲『プラウド・トゥ・フォール』が鳴り出した。
夢の内容を調べてみる。『放尿』の夢はかなりの吉夢らしい。それも他人だと棚ボタ的な意味があるらしい。
わたしの嫌悪感は何だろう?多分恐怖だ。変わることへの。未知の世界へ向かうことへの。
★★★
わたしは生まれた。一般的な家庭の長女として。
しばらくは幸せだった。
若干大人しい性格ではあったものの、氣にするほどではない。
晴れのち曇り。そして雨が降り出した。
雨はわたしを蝕む。父が死んだ。
知らない誰かが小さなわたしを弄んだ。
わたしの人間の形をした衣装は雨に濡れ、重たくなっている。
動くことが難しい。
それでもその重い衣装を引きずってでも行かなければならない。
学校だ。
学校ではいろいろなことを習った。
自分を殺す方法。
自分らしく生きてはいけない。
奴隷になる方法。
みんなと同じでなくてはならない。
いつのまにか胸に穴があいた人間型ロボットが出来上がった。
自分を押し殺すことにかけては世界一。
他人の目を氣にしながら生きる人間レースでは上位を走る。
濡れた衣装だけじゃない。
その時々でいろんなお土産を拾い、わたしのポケットや鞄はパンパン。
その重さでもう身動きさえできなくなった。
もう一歩も歩けなくなって、どうしようか考えていたら、誰かが囁いた。
「燃やしちゃえば?」
誰だろう?なんか会ったことがあるような氣がするけど??
「わたしはあなただよ。」
え?まさか。
でもいいアイディアだな。その意見は採用してやる。
わたしは自分の荷物を燃やし始めた。
だんだん軽くなってくるのを感じる。
燃やした火のおかげで雨で濡れた人間型衣装も乾いてきた。
雨のち曇り。そして晴れ間が見えてきた。
やった。お日さまが氣もちいい。
風がそよそよ頬を撫でる。
なんか昔のことなんてどうでもよくなってきた。
「思い出した?あなたはわたしだよ。海へ行こうよ。」
えっ、そうだったけ?
ああ、でも海は大好き。
波のない穏やかな海の中でプカプカ浮いてると彼女がボトルを手渡してきた。中には紙が入ってる。
口の細い瓶だから中の紙がなかなか出てきてくれなかったけど、やっとのことで出すことができた。
中の紙には赤い大きな字で『I LOVE YOU』と書いてあった。
なんでだろ。悲しくもないのに涙が止まらない。笑いながら泣いている。
彼女はわたしを見て笑いながら、海の中にすうっと、融けた。
彼女が融けた液体がわたしをやさしく包む。それはわたしの人間型衣装の毛穴から吸収され、細胞のひとつひとつに届く。
細胞がプチプチ音を立てて喜んでいるのを感じる。
まるでダンスをしているみたい。
思い出した。
わたしはここから来たんだ。
深い深い海の底から太陽を求めて。
後ろを振り返ってみるとわたしが居た。
たくさんのわたしが微笑んでいた。
いちばん苦しくてボロボロだったときのわたしでさえ、お日様の光に照らされて笑っていた。
そっか、ここは舞台の上。
わたしはわたしを演じていただけだった。
みんなお疲れ様。
声がした。彼女の声だ。
姿は見えないけど、どこにいるんだろう?
「さあ、行こう。次のステージが始まるよ。」
え、嫌だよ。
ここが氣もちがいいし、ずっとここにいたい。
次ってどこに行くの?知らないとこは怖いよ。
「ダメだよ。約束したじゃん。一緒に遊ぶって。」
約束って?覚えてないよ?
テキトーなこと言ってない?
相変わらず姿は見えないけど、声はすぐ近くから。
あれ?わたしの胸の穴が埋まってる。
声はそこからだった。
「一緒に遊ぼうよ。」
えぇ、でも…。
でも…あなたと一緒なら楽しいかも。
あなたがついてるなら怖くないかも。
どこに連れて行ってくれるのかな?
一緒に遊びに行きたくなってきた。
でもちょっと待ってて。
残りの荷物を燃やしてくるから。
昔のわたしたちにさよならしてくるから。
絶対一緒に行くから、ちょっとだけ、ちょっとだけ待ってて。
★★★
PV。
わたしたちの人生そのまま。錘を降ろして自由になろう。
関連記事
Spotify : noteで書いた曲をプレイリストにしています。
見出し画像
最後までお読みいただきありがとうございます。
チャネリング&リーディング、承っております。
この記事が参加している募集
いつもありがとうございます。 世界に愛を広げていけるよう日々精進してまいります。 応援していただけると嬉しいです💛 https://note.com/purestblue/n/nabf1b9cefc7c