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Johnny, Be Good. (13)

まえのはなし

「こぉのバカタレどもがぁぁあっ! 破門! 破門じゃボケェェエッ!」

やぁ、みんな。不要不急の外出は控えて、会食とかは残念だけどやめとこう。ジョニーさんとの約束だ!

ダンジョンの外に出たら面白い顔をしたヒネメス枢機卿がいた訳なんだが。ちょっと脱出時にクルクル後ろ確認して石落として道塞いでたんだ。結果、全員ぐったり白目を剥いてお休み中。ヒネメス枢機卿の顔芸面白いのに残念だね!

「いや、僕じゃないんですけど、そこのおじさんが『冒険者たるもの、開かずの扉を放置する訳にはいかない(キリっ)』って力説してました」
「コマンドワードで開かない辺りで気付けアホゥ! ありゃ我々が命がけで封印した本物の悪魔じゃあっ!」
(ビグルス枢機卿とファング枢機卿が死んじゃったのよねぇ。あれは酷い話だったわ……)
あ、ジョニーさん知ってる、女神マリーアちゃんが他人事モードって事はなんかやらかした奴だ。
「あの時ラックやクッションがきちんと出ていれば……」
天を仰ぎ涙を流すヒネメス枢機卿。珍しくシリアスだけど、仲間が死んじゃったらこうもなるかな。あ、ひょっとしてそのせいで信心が?
(ちがうわよぅ。元からちょっと感度がアレだったから間違えただけだわよ。マリーア嘘つかない)
嘘はつかないがボケはするからね、女神様。
「で、どーなるんでしょう、ヒネメス猊下?」
「今から再封印します。もうこの遺跡は誰がなんと言おうと埋めます。研究だ財宝だで保管したがってた連中は火刑!」

「え? ジャンヌさんまだ中いますよ?」
「1人の犠牲で済むなら仕方ありません。それぐらい不味い事なんですよこれは!」

《《え?》》

なんとかならんの? ほら、白馬に乗った王子様とか?
(むしろジャンヌちゃんがそれだわね)
いや待て、ちょっと待って。それって僕のせい? いやいやいや、なんでバッドエンド方面に?

「……僕が、助けに行きます!」
おいおいジョニー君! 何をトチ狂った事を!
「もう……死んでお別れするのは嫌なんだよ……力を貸してよジョニー……」
貸すけど、というか貸してもダメじゃない? ジョニー君、命は一つしかないんだよ?
(みんな一個しか持ってないけどね)
ほらみろ、やっぱ死んだら終わっちゃうんだよ。考え直そ、ジョニー君!
「行こうよジョニーさん! 僕のせいでジャンヌさん死んじゃうのは、やだ!」

「いっぱしの男みたいな口きくじゃねぇかジョニー君」神官戦士ボーが軽く背中を叩く。なにその清々しい笑顔!
「俺は嫌なんだけど、行かないのはもっと嫌だな。はい消去法でドン」ギリアム、なんでそこで男を見せるのっ!
「危険を冒すから冒険と言う訳だしなぁ。乗った。大マグヌスの名にかけて!」賢者ポジまで男気みせちゃうの?! やめてよ!
「任せろ少年、俺らが行ってくる」
「ボーさん……」
いや、俺も行きたいよ、助けたいよ、でもジョニー君死んでしまうじゃない?

……え?

なんかいつか見た白い部屋の中にいた。久々の「僕」の視点。あ、転生前ボディだこれ。
「君もジョニーなんだがね」
でぇくのおっさん!
「ジョニー君が死ぬときは君も死ぬ。だって2人は1人のジョニーだから。君はそれを理解しているよね?」
ええ、まぁ、それはなんとなく。
「今、君はジョニー君の身を案じるフリして自己保身を図った、間違い無いね?」
う……
「君は誤解している。君はジョニー君の保護者ではなく、ジョニー君自身なんだよ。2人の意識に見えるものはただの葛藤……個人の葛藤に過ぎない……」
え? でも僕は……
「正直になろう。もし君が自分の身体を自分で操る《《自分であったなら》》どうする?」
行く……かな? ジャンヌちゃん死ぬのは嫌だし。うん、行くよ!

「良い返事だ。これで葛藤は消えた。
君もジョニー、彼もジョニー。
もう、迷いは無いね」

「行け、使徒ヨハネ!」



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純戦士のおじさん
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!