アイデアから作り込む

穴部瑠璃のアレね。

基本構想は「八男が七女になってもセーフという風潮へのあてこすり」であり、ネタパクリとしてラノベではなくエドガー・アラン・ポーのAnnabel Leeをパk……リスペクトする事にする。ラノベじゃ無くそんな有名作パk……リスペクトていいの?と思う向きもあるかと思うが、僕らは魔界転生やモスラや蛮族コナンを大胆に活用する荒山徹師父からもっと多くのことを学ぶべきだ。そこらのラノベ作家より沢山本を出してんだぞ。アレで。

初期構想に於いて、ケツの方に公儀隠密が出る事になった訳だが(怒りに燃えた主人公人が一方的にズンバラリでは盛り上がりに欠けるし、敵の非道さを描写しないとカタルシスが生まれないべ?)、これをどう絡ませるかを考えなければならない。

1.たまたま居たYagyu
柳生十兵衛が消息不明だった蟄居?謹慎期間中に謀略を行なっていたという伝奇界で死ぬほど良くあるムーヴ。類型に「歴史書だと女性は添え物扱いで記述がほぼ無い」を活用した「歴史の闇に埋もれた柳生の三女」とか、双子が忌み子だから放逐したパターンなどがある。柳生九兵衛とか柳生与一(10余り1で11人目)でえーやんけ。

2.将軍から密命を下された公儀隠密
柳生だと圧が強すぎる場合はある程度雑魚いオリジナル忍者を出しても良い。テンプレ的な出し方としては司馬遼太郎の「風の武士」なんかが参考になる。南蛮人が日本人さらってるとかの噂が流れたら、それだけで忍者派遣してもよかろーみたいな。

3.ご隠居のアレ
ズバリ風車の弥七。悪事露見後の政治的なゴタゴタは副将軍の印籠でパツイチよ。

まぁ、公儀筋の忍者辺りが使いやすい。公安当局みたいなもんだ。ただ、悪役がオランダちほーからの渡来者だから舞台は長崎出島周辺になるし、町民や兵卒に交わる殿様とかやたら血気に流行った猛者が出るから薩摩のお殿様の手飼いの忍者を調べるか新設しても良かろう。

調べたら案の定である。

https://ncode.syosetu.com/n2851cy/24/

で、忍者居たら瑠璃さらわれなくない?という問題は、病気の妙薬探しに山に入ってた辺りで解消しとく。

現状
舞台となる小藩は島津系。領内で人攫いの噂が立ち、忍者はその調査で山伏として潜伏中。てーか、実際兼業山伏。

主要人物の解説の為に日常パートが必要である。皆から愛されてる描写の為に「瑠璃にぶつかって来て悪態垂れるヤクザもの」辺りを挿入してはどうか。彼はすぐさま当地の元締めに頭を掴まれ「処される」のであるが、それを奉行所の侍に見つかってしまう。
「これ権蔵。乱暴はいかんぞ」
「いや旦那、こいつが瑠璃にぶつかり悪態垂れたもんで」
「死罪だな(即答) 晒すか」
「待って下さいお侍さま。瑠璃は大丈夫ですから」
「?……! おう、お前浦島じゃねーか」
「は?」
「どういう事だ権蔵?」
「いや何、この間浜で亀に頼まれましてね。竜宮城から戻った浦島太郎が手紙もよこさず悲しいと、乙姫さまが嘆いてるンでさぁ」
「ほぅ。それで?」
「見つけたら竜宮城まで送って欲しいって話なんで、ちょいとオイラ送ってきますよ」
「なるほど、それでは急がねばならんな。乙姫殿もさぞやお悲しみであろう。石でも抱かせてやったらどうか?」
「旦那、そりゃあ……名案です。おい太郎、好いた女に不義理はいかんぜ。江戸川さんとこのぼっちゃんなんかなぁ……」
「瑠璃ーお蕎麦食べにいこー」
「江戸川さま! すぐ行きます!」
……かくしてヤクザものはタイやヒラメとお友達になった。おっとウツボ君や蟹くんもやってきたぞぅ!(暗喩)

元詩ではアナベル・リーの美しさと愛の深さを語った後に「凍えて死ぬ」のだが、死すら2人の愛を引き裂く事ができない……とメソメソ展開になる。一応展開は途中までこれを模しておく。
これ書いたポーは話を死んだ妻(姪で結婚時13歳。ポーは26)と重ねて見ているとの説もある。そう考えながら見るとよくもまぁノロけたな……と言った趣が……

流石にある程度教養があり、ブンガクとか能書き垂れる癖にポーやテニスンやワーズワスも知らん人は居ないだろうから、丁寧に書いたら彼らは「あ、風邪ひいて死ぬ奴だこれ!」となるであろう。風邪が悪化するシーンで悲壮感を出し、江戸川が山伏になけなしの金で祈祷を頼むが……
「神仏にも慈悲はある。娘は大丈夫だ。今は人事を尽くす時!」と山伏は山に向かう。「誰か……誰か瑠璃をたすけてよぅ!」

で、それを見ていた侍が長崎の先生って噂の紅毛人を連れて来ると。ここで隆慶一郎-原哲夫ラインが繋がり、こいつがイスパニアの先兵であることが確定的になる。

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「祈りましょう」

経験談でありガチなんだが、私若い時にキリスト教徒が多い某商社にいましてね……PCパーツショップの店員時に店長が風邪で休むって事付けを会社の人に伝えたらですね、マジで「そうですか、祈りましょう」って言われてフリーズしたことがある。

祈るのか。

タミふらないのか。

いや別に店長翌日には出社したけどさぁ……

で、満月の夜に私の船が来ると。そこに小さな礼拝室があるからそこで祈れば快癒間違いなし!とかで攫われるってのはどうだ?

ここで山伏セリフがフラッシュバック
「今は人事を尽くす時!」
でうすに祈っても瑠璃は苦しそうだった。一心不乱に祈っても聞き入れてくれなかった。まさか神様も瑠璃を気に入り、そばに置きたくなったのでは……?

元詩では、天使が2人を羨んでアナベル・リーを(死なせて)連れ去った……と書いてある。

しかしここは時代劇時空。その中でも最も瘴気の濃密な伝奇の地……

決起した侍が殿を先頭に沖合の船に接近! しかし小舟は波に揺られて狙いが定まらない。
「はっはー、鉄砲そんなものでは当たらんなぁ! 那須与一に笑われるぞぅ!」
肝ねりするような薩摩隼人はこれしきではビビりません。

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待て。薩摩では女に関わるの女々じゃなかったっけ?

まぁ良い(ぶん投げた)

で、船で大暴れして船室にさらわれた女性が多数いる。ここで怒りに燃える侍たちにサーベルかカットラスかレイピア持ったカルロス(仮名)が!

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強い、実際強い! ていうか実質海賊だからカルロスちょう強い! なぜ強いんですか!

でうすに祈るからだ。祈らぬからお主らは弱い!」

そこに遠雷の様な呪が響き渡る。

 オンイダテイタモコテイタソワカ

 オンイダテイタモコテイタソワカ

オンイダテイタモコテイタソワカ

オンイダテイタモコテイタソワカ!

海の上に爆発めいた水柱が立ち、それが船に向かって来る。雷鳴のように響くは韋駄天の真言呪。

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ほら(調べたら都合のいいことが書いてあった)

「どぉりゃゃぁぁあ!」忍者は海面からさかまたの様に張飛するとカルロスを急襲! 突き出された剣を入り身からの手刀で払うと、流れる様な動きで小手返しを決める!

「馬鹿な、妖術か!」
「理屈で現実を測るな。現実から理屈を考えるでござる……これぞ神仏の御加護じゃ!」
「黙れ異教徒! 邪法の悪魔崇拝者が!」
「祈るから強いのであろう?」

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 オンイダテイタモコテイタソワカ

オンイダテイタモコテイタソワカ

オンイダテイタモコテイタソワカ

オンイダテイタモコテイタソワカ!


忍者が甲板を強く踏み込むとまるでそれに呼応したかの如く船が大きく傾き、下に沈む。鍛錬された下半身を持つ2人は不動である。祈りの姿勢からカルロスは合掌の形のまま大きく振りかぶって振り下ろそうとしたが……

「ナウマクサマンダボダナン

アビラウンケン!」

忍者が天地合一を果たす真言呪を唱えると、沈んだ船体が大きく傾き忍者の身体を押し上げた。韋駄天真言呪の力により強化された脚力で矢のように天空を駆ける!

 かっ

思いの外軽い音がした。1丈(約3m)の高さでトンボ返をした忍者の半分くらいの高さにカルロスは浮かんでいた……

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「秘奥、韋駄天水車蹴り」

悪はほろびた。

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純戦士のおじさん
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!