Johnny, Be Great!
〈たん、たたたーたた
ちゃん、ちゃちゃちゃちゃーちゃー……〉
どこからか勇気の調べが鳴り響く。暗いダンジョンの中で燻る男はかつて弱虫ヘタレ、悪魔憑きと虐げられた男によく似ていた。
「ジョニー……なのか?」暗闇に怯える冒険者が囁く。
「ジョニー、でもある」彼はそう言った。
『また、別のジョニーでもある』それはそうも言った。
《ジョニーの様でジョニーではなく、然してそれはジョニー達から生まれし者。ユニティー(統一体)ジョニーとでも呼んでもらおう!》
「食らえ三下! 〈デモニックキック〉!」立ち塞がる一つ目巨人は下半身を爆散させて絶命した。
(コカトリスから魔力反応! 石化来るぞっ!)
「させるかよぉっ! 〈マリーアの梟首〉っ!」
レジスト不能、対象の首を180度回転させるだけ。エクソシスト撮影時のウィリアム・フリードキン監督以外は喜びそうに無い神呪が絶妙なタイミングでコカトリスにHit! 石化ブレスは後方から進軍して来た魔物の群れに降り注ぐ!
「待ってろジャンヌ! 今助ける!」
「え? 俺は?」
『膝を抱えてガタガタしてろ! 邪魔すんな!』
「無防備に後頭部晒してんじゃねぇっ!」高速で横薙ぎに振るわれたパンチはコカトリスの頭を一瞬にして血煙に変えた。
(ジョニー、手頃な石がある!)
「お、ジャンヌの反応は?」
(まだまだ先だ。イケるっ!)
『球聖サワムラの名の下にっ!』
「唸れ豪腕っ!」
『輝け白球!』
「プラズマっ! ラーンスっ!」
時速180kmで投擲された小石は僅か5mでマッハ50を超える飛翔体と化した。Pガイストの呪力で加速した物体は「それがなんであれ」外周部からプラズマ化して長く尾を引き……眩しく輝く光の投げ槍と変化する。
空飛ぶ人食い鮫、地を這うスモトリゴーレム、悪辣な広域指定暴力団ゾンビ……彼らはひととき眩く照らされた後に暴虐の塊と化した衝撃波を浴びて破裂した。
今日この日の為に、2人の魂は1つの身体に宿ったのだ。