青の書写屋
久々に見たナイス夢アイデア。
若き才能ある魔法使いが老人と自分の口で二重詠唱による極大魔法を放つと言うありがちシーン。はっはー、ジジイよお前はお前の呪文で死ぬのだー!
「一つの魔法は根を生やし、術者を大地に縛り老木化させる! 我が呪文は我が身を竜と化し、空舞いマナを貯め……」「老木はそのマナを吸い尽くす。根張り葉をなし幹が伸び、大樹はやがて龍を捉え……」
(二重詠唱法の乗っ取りだと!)
「驚いてる場合か若き竜、メケナイアの黒き鶏に記載があるぞよく読めよ! 樹は伸び天地を繋いで竜のマナを吸い尽くす! 伸びよ伸びよ枝葉よ伸びよ! 天を覆い地に満ちよ!」
「っ……しかし竜は……」
「死なず穿たず取り込まれ、龍樹はすくすく育ちますっ!」
ちゅどーん!
「……ジジイ……お前は……」
「一介の書写屋よ、仕事の都合上各地の魔導書やら物語、凡ゆる書物を知っておる……そして禁書を書き換え無効化、封印しておってな……」
「まさか……」
「さよう。お前のその術も20年前ワシが書き換えて呪文を切り替えるポイント仕込んだ封印呪文だ。解析して発動するまで復元したのは見事だが、上書きの結節点は見抜けなかった様だな」
若者は極大呪文とか大技すぐやりがちだしなー。呪文文法や構成の仕方研究せんもんな。
「どーせ異本とか書写屋がうっかり修道士が書き間違えたとか勘違いしとったんだろ? 俺が直して呪文復活させたるとか考えたわなぁ。残念ながら修道士やワシらは学識経験山ほど積んでてな、お前みたいな跳ねっ返りがやらかすことも予見しとるんじゃ」
書写屋
グーテンベルク以前に書物を手書きで複製してた連中。多くは修道会所属の聖職者で、豪華な写本を貴族に売って生計立ててた。夢が示したイメージは「書写した書物の書き損じ(コピーミス)は意図的に禁じられた知識の封印の為に施されたものであり、古代知識のコントロールを書写師が意図的に行っていた……と言う話をしつつ、ビンボくさい修道会の生活を通して庶民よりの中世ヨーロッパ感を描いてみては?と言うアイデアかと思う。
普通は書写師と訳すのだが、ワザと書写屋とするのが私流。