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水星のタヌキ #5
「ちょっといいかしら?」
「……アーシアンが何よ?」
「ほら、この動画。チュチュのデミトレーナーの録画なんだけどね……」
そこには悪い顔で紫外線硬化塗料をスプレーする2人の女学生が映し出されていた。つーか、カメラアイの真正面からスプレー噴くのにマスクもしないとは何たる不覚!
「なによ、脅す気? 金でもタカリに来たの? もうあれはチュチュに殴られて……」
「……あの塗料、誰が落とさなきゃいけないか分かってる?」
ピキ
「あの塗料、レジンだから溶剤で溶けないのよねぇ。随分手間取らせてくれたわね?」
「メカニック科の癖に……」
◆
「え、なんであーしがニカ姐を尊敬するかって? 簡単よ……MS使わなきゃ学園最強はニカ姐よ。笑顔の関節技天使なんだから……」
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「一切青痣も打撲も無いわ。何があったかわかる様な痕跡は残さない。ただ、痛みと失神だけ……(ガクブル)」
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「そして小便漏らして失神している所を晒されるの。もう死んだも同然……いや、死ぬよりキツいわ、あれ(遠い目)」
◆
「オマケよ、これは水星ちゃんの分!」
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MSという巨大兵器をメンテナンスする筋力と、アスティカシア高専にも伝わった「高専柔道」
……かつて高専柔道は本家講道館や警察柔道すら打ち負かし、柔道ルールを改変させるまでの猛威を振るった。ニカ・ナナウラは高専技術を継承した「柔道特待生」である。
◆
「あんたも気をつけな。本当にヤバい奴は人当たりいいのよ。ニカ姐2年にして3階級制覇のバケモノだから。あーしも肩外されて締め落とされて「次やったら、分かってるわね?(ニッコリ)」された口。オリンピックの強化選手に混じって練習してるんだもん、敵うわけない……かなうワケ、なぃょ……(涙目)」
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彼女もまた、魔女だった……
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