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塗料の油性・水性
某所でエナメル塗料は水性と説明されててびっくりしたなぁもう(挨拶)
いや、水性エナメルはあるよ。近年ホビー用に限らずシンナーは身体に良くないってんで水性塗料増えてるの。(健康マニアの欧州がな……)
ただ、タミヤのエナメル塗料とかハンブロールカラーは油性だゾ。実際水混ぜたら判るが、溶けないっスよ(塗料ダメにしちゃうから、要らない筆に付けて水洗いしてみたらいい)
そも、水性・油性ってのは分子構造の話せにゃならんのだが……雑に話すと「溶媒が極性分子(水)ベースか、無極性分子ベースかって話」になる。例えばフライパン洗う時には洗剤付けるが……油は基本水に溶けないので、油が水に溶ける様に「界面活性剤」ちゅーもんを使う。
界面活性剤で油分を包み込むと油性の液体も水に溶けるだよ。これが基本的な水性塗料の仕組みだ。
さんこう↓
で、油性塗料は油(というか、無極性分子の液体)に溶けてるので水には溶けない。正に水と油という奴だ。
更にそこでは「エナメル塗料は乾燥が遅い」と書かれてたのだが、確かに乾燥も遅いんだけど、エナメル塗料は溶媒の乾燥だけでは無く空気中の酸素と重合して塗膜形成するんですわ。(酸化乾燥型塗料)
ちゃんと酸化重合完了しないとエナメル塗料は塗膜弱い。
ちょっと前に水性塗料にマジックリン混ぜて塗るなんてテクを見かけた事があるが、あれは溶媒である水の表面張力を界面活性剤で弱める効果がある。ただ、マジックリンには洗浄用の発泡成分とか入ってたり、アルカリ性で(高濃度、直時間曝露しないから大丈夫だと思いたいが……)ポリスチレンを脆くする可能性はある。マジックリンなんかと比較にならない超アルカリ洗剤(付着したまま数時間放置すると手の皮に穴が開く程度のアルカリ材)を用いるエアコン洗浄では「すすぎ」が不十分だと年単位でプラが劣化する事例がある(紫外線の影響もあるかもだが)
一応、超高濃度アルカリ液+界面活性剤を60度ぐらいまで加熱して漬け込み洗いすると換気扇フィルターのペンキまで剥がしてしまうのだが、これはシツコイ油汚れってのが「油分の重合により高分子化して固まる」のと、ペンキの固着・乾燥が同じ原理であるからだ。換気扇は油汚れがメタクソ分子量がデカい高分子鎖作る前に掃除しよう。ペンキの作る高分子鎖より分子量が十分小さい内ならペンキにダメージ与える前に油汚れだけを落とせる。
塗料周りの話、なんでか皆「塗料の有名企業」である日本ペイントやアサヒペイントの記事見ないのな。先の「エナメル塗料は水性記事」書いた方はどこをニュースソースにしたのかちょっと気になる。
尚私の「油汚れ分解メカニズム」は某社がやった「Kaoの開発の連中呼んでやった講義」で叩き込まれた。掃除の研修だと思って参加した連中皆が度肝を抜かれた謎研修だ……(半数以上が船漕いでた)
趣味の世界の遊びの話ではあるが、高校生ぐらいまでの化学の知識が活きる珍しい話だ。学生諸君は「趣味に活かせる!」と目を輝かせて分子の立体構造や電荷の授業に打ち込むと良い。実生活は知らんが「学校で学ぶ知識は趣味で活きる事もある」(掃除とかで汚れの物性から洗剤選ぶなんてことも出来るけどな!)
追記:
そういやこんな記事があったな。
水性塗料を水で「希釈し過ぎると」性能劣化するって話だが、今回の記事読んだ人なら理解できるだろう……水性塗料は極性分子である「水」に溶けるから水性なだけ(逆に油(無極性の溶媒)をしこたま混入すると界面活性剤が足らなくなった段階で「混ざらなくなる」のだ)であり、溶き過ぎたら性能が落ちるだのなんだのは実は「水性」という定義と矛盾しない。そらあんた、塗料皿で表面張力によりもっこり盛り上がるほど水に溶いたらそもプラが弾いちゃう(プラスチックは基本的に「油」が原料なんすネ)
よーく読むとちゃんと「余り水で薄め過ぎないでね! 乾燥遅くなるよ!」とか注意書きがあるゾ。
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