
あの方
えー、冒頭800文字で良いのになんか連載中になってるアレですが……
最近唐突にある方が出てきましたが、すんません「あの方」が出てくるのは私の大好きなパルプ小説(ガチの)「悪魔なんかこわくない(国書刊行会から出てた)の中の「山に登りて告げよ」からのパクりです。
みんな割とパルプパルプという割にはガチのパルプマガジンに掲載されてた話を読んだことってあんまり無いんじゃないかなと愚考する訳だが(多分みんなが見ているのは逆噴射総一郎氏のフィルターを介して見たパルプっぽさだと思う)、それが名作ではなく「大衆小説」にカテゴライズされてると、どうしても時代性を帯びてしまうため
同時代に生きてないと読みづらい
という大問題があってだな……
一例を挙げよう。キャプテンフューチャーは私が小さい頃NHKでアニメ化もされた比較的メジャーなパルプのSFだが、原作は1940〜1950年ぐらいに書かれた話なんな。1970年代にアニメ化したフューチャーはこんなだが
原作はこんな挿絵だ。
色々古臭い設定や絵面を、日本でアニメ化する時はかなり手を入れて再構成してある。なんせ原作は火星人がいて各惑星にそれぞれ原住民がいたりするからな(古いSFあるあるである)、1970年代当時でもそれはちょっと古臭いイメージだったんよ。正直今の人が原典読んだら「なんやこれ?」満載で超つらいと思う。
大衆小説は大衆に供されるものだから、どーしてもその時点での「大衆が知り得る知識の中で」話を展開せざるを得ない。するとどうしても皆の知る知識(一般教養とか常識って奴だ)がアップデートされると「内容が微妙に合わなくなる」んである。中には意外にも科学考証を重視して設定に凝る作家もいるが、そいつが意外なことにラブクラフトだったりするというね……
更に、パルプ小説の中には西部劇なんてカテゴリもあるが、日本で西部劇流行ったのウチの亡父(昭和20年生まれ)が中高生だった頃ではなかったか。親父は西部劇映画を見るためだけに新聞部に入り、映画評書いて宣伝してやるから「ただで見せろ」と映画館と交渉したって話だ。酷いぞ親父w
で、西部劇だと当時の世相を反映して野蛮なインディアン(かくうのみんぞく)が幌馬車襲ったりするんだが、ダンス・ウィズ・ウルブズ辺りからポリティカルコレクトネス的にそーゆー話はNGになった。悪いインディアンは居ない、いいね?(今はネイティブ・アメリカンとかゆーね。あと、この辺掘りすぎるとアメリカの大義名分が実にヤベェ)
んで。話を「悪魔なんかこわくない」に戻すが……内容を読むと書かれた当時のアメリカはアパラチア山脈周辺の人々の常識などが窺えて、逆に習俗や風俗、民間信仰に興味がある人はすごぉく興味深く読めたりする。初代大統領ワシントンを王様だと思ってる人がいたり、この世の中に身長がぴったり6fの人は存在しないなんてのも大変滋味深い。その方はいわゆる一つの「あの方」なのだ。
30過ぎまで多分家業継いで大工してた。宣教期間はおよそ3年。どっちかと言えば、この人大工だと思う(ちょいとやり過ぎて釘打つ仕事の人なのに釘打たれちゃった)
私はこの「大工として現れて、大工仕事で人々の間にある諍いを修理して回る」あの方の描写が大好きである。今の連載内容だと「あの方の思想性」に合致しない部分があるので後々改稿する予定。主人公2人の名前がJohnnyである点も実はフックだ。
ちゅーか、Johnnyは愛称であって名前じゃないよね?
そのニュアンスがある意味重要なんで、わざわざ「Johnnyさん」「Johnny君」と語を継いでニュアンス出したりしてる。
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