
Johnny, Be Good! (5)
「Confess!(罪を告白せよ!)」
モンティパイソン以外でこんな台詞聞く羽目になるたぁな……やぁみんな、ジョニーさんだ。今両手両足を縛られて水桶に顔突っ込むちょっとしたエクササイズに取り組んでる。もうとっくにジョニー君は気を失って、ジョニーさんも虫の息さ。
「なぜここまでしても悪魔は姿を現さないのだろう……」
「聖水の量が足りないのでは?」
足りないのは脳みそとか親愛なるドジっ子女神様への信心じゃないかな? 大体この身体にジョニーさんの魂押し込んだのは女神様だって!
「このままでは少年まで死んでしまいます」
ナイス指摘だ赤鼻おじさん(仮名) でもそれ15分前に気付こうな!
「しかし悪魔を払わぬとこの子の人生が……一か八かやってみよう!」
何かが物理的に破断する音がした。誰にとっての一か八なのか。お前この……
「おかぁさん……」
か細く、声も枯れ果てて。鼻水や涙に塗れた顔から漏れ出たジョニー君の声。
もう、限界だ。
「だぁらっしゃあっ!」
〈マリーアの梟首〉の呪文で首を反転。周囲を確認。同時にジョニー君の意識を遮断。小脳ハッキング完了。身体コントロール開始。A10回路フル稼働。アドレナリン分泌速度最大。魔力回路接続と同時に身体強化系呪文同時発動。そして治癒、治癒、アンド治癒! 手足の縛は力づくで破壊した。
「!!!!」
「だぁってきぃてりゃなんだお前! それが大好きな母親を亡くして悲嘆に暮れる幼子に対する仕打ちかぁっ!」
悪魔払い豆知識1
急に口調や声色が変わったら悪魔憑きかも知れません。
「ったくお前らあのドジっ子女神と同じでトンチキだな。取り憑いてるのが悪魔だって誰が決めたんだ! ジョニーさんみたいに良い人かもしれないだろがコラァ!」
査問官の小部屋
我らが女神がドジっ子というのは、聖典外伝ミカエル・J・Fの書第二版(増補版)に記された教会の秘儀中の秘儀です。印刷屋さんはこの書と共に焼かれました。
「何とか言えコルァっ!」
P(ポルター)ガイストの術発動。部屋の中に散らばるあらゆるものが宙に浮かび、大型魚に追われたイワシの群れの如く球を描いて飛び回る。
悪魔払い豆知識2
本人が知り得るはずのない知識を持ち、超常の力を奮ってきたら、高確率で悪魔憑きです。
「「あ……悪魔よ去れぇっ!」」
「誰が悪魔じゃあっ!」
「落ち着きなさいアターックっ!」
「……不意に開いたドアの向こうから飛び出す華奢な身体。柔らかなラインから繰り出される豪猛なラリアットは2人のハートを貫くより先に、どこに出しても恥ずかしくない悪魔憑きと化したジョニーさんの意識を刈り取りました。高く掲げた右手が形作るはテキサス・ロングホーン。宿す魂はテキサス・ブロンコ。嗚呼、彼女こそが当代で最も「可愛い女神☆マリーア」への信心を貫く聖女ジャンヌ。
間に合って、良かった」
(あのー、マリーア様……間に合ってなくないですかこれは……)
薄れゆく意識の中で、言われるがままにYouth!と叫ぶテキサス・ブロン娘は明らかに困惑していた。そして、暗転。
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