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加速する愛情の“美しさ”(曲紹介)



「あなたの美しいと思う曲を書いてください」

    誰の、どんな曲を書きますか?



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今回はMili「Nine Point Eight」の軽い紹介と考察を書いてみようと思います。語り始める前に……とりあえず聴いてみませんか?一度、事前情報を入れずに聴いてください(可能であれば字幕も付けずに)
あえて記事の序盤でYouTubeへのリンクを貼ったのはすぐに聴いてもらいたいからです。(曲紹介の記事を書くことは今回が初めてです)


そして私の記事で曲紹介をするにあたって、1つだけ重要な話があります。曲を構成ごとに細かく分けて紹介したり、音楽業界の専門用語を使って書いたりはしません。あくまで全体の曲の雰囲気や歌詞について語っていきます。




「Mili」とは?

Mili(ミリー)は、日本バンド・音楽グループ。2012年に結成された。『世界基準の音楽制作集団』を称し、リズムゲームCytusDeemo、その他のゲーム、コマーシャルビデオ、アーティストなど、様々なメディアに楽曲や歌詞を提供している。

出典元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Mili 


「Mili」の曲は主に英語が使われていますが、曲によっては中国語や日本語、はたまた架空の言語まで登場することもあります。そして、彼/彼女らの作りあげる楽曲ひとつひとつは、まるで1冊の本を読んでいるような不思議な感覚を覚えるのです。


「Nine Point Eight」について語る

では本楽曲について、歌詞を見ながら自分なりに考察をしていきたいと思います。その前に、初めて聴いた方は次の項目の内容を読んでほしい。

 

・(記事を通して)本楽曲を“初めて”聴いた方へ

どうでしたか?そしてどんな曲だと思いましたか?
少し自分の話になりますが、私が初めてこの曲に出会ったのは、有名なリズムゲームアプリ「Deemo」からなんですよね。そして私が初めてこの曲を聴いたとき「明るくて、美しい曲だな」と思いました。皆さんはどうでしょうか?

Q.さて、ここでもう一度曲を聴いてください。

A.「え?なんでまた?」

そう考えるも当然いるとは思いますが、さっき書きましたよね 「字幕を付けずに聴いて欲しい」と。
それでは次は字幕を付けて歌詞を見ながら聴いてみましょう。1回目の時点で英語が理解出来る方なら内容をなんとなく察しているかもしれませんが、改めてもう一度。

(YouTubeの字幕機能は便利なもので、本楽曲も日本語以外になんと11ヶ国語の言語にも対応しています)


さて、2回目を聴き終えましたよね。どうですか?
「初めて聴いたときと比べて感想が変わった」人が多いのではないでしょうか。「Mili」の曲は歌詞を見ることであの1枚絵にどんどん深みが増していくという魅力があります。歌詞については次の項目から私の考察を細かく書きますが、自分なりに考えてみるのも楽しいですよ。


・頑張って私なりに考察をしてみた

ここまで読み進められた方々は何回か聴いていると思うので、ストーリーの流れや歌詞などは部分的にかつ簡単に書くだけにとどめておきます。
(ちなみに……本楽曲の歌詞は英語ですが、分かりやすく説明するために記事では日本語で表記しています)

本楽曲のストーリーを超簡単に書くと

登場人物:恋人関係にある「君」と「僕」
内容:恋人の「君」(以降彼女と表記)と死別した「僕」(以降彼と表記)が彼女との誓いを守るため、
最終的に飛び降りる

省略している部分はありますが、大まかな内容はこんな感じです。


では歌詞について気になった部分とその考察を書いていきます。

まず歌詞を見て特徴的だなと思った部分は「花の名前」が出てくること。カイユウリ、カーネーション、デイジー、菊、カランコエ、リシアンサス(トルコキキョウ)、薔薇(クリーム色)、スターゲイザーリリー、アヤメの計9種類。 

花言葉は、例えばデイジーは「純潔」「あなたと同じ気持ち」 カランコエは「あなたを守る」「たくさんの小さな思い出」 リシアンサス(トルコキキョウ)は「感謝」「永遠の愛」 アヤメは「良い便り」「希望」「信じるものは救われる」など。

他にも意味はありますが、全て書くとあまりにも多すぎるので、いくつかの花と意味だけ書きました。
全体的に愛情を深く感じられるような美しい花が多いですよね。そして彼女と彼の関係の深さが窺えます。ちなみに、登場するどの花も様々な国の「葬儀」に使われるそうです。


次に、上から順番に考察していきます。まずは1番。

「僕は叫んだ 見捨てないで 見捨てないでと」
「すると君は僕を強く抱き締め
      大丈夫     大丈夫だよ   そう言ってくれた」

上記の歌詞から彼女が旅立つ直前の会話であると何となく分かりますよね。そしてサビへ。

サビで2人が別れる場面に移ります。
亡くなった彼女と周りに舞う花びら…恐らくは歌詞に登場している花たちではないかと思います。

「君の魂が安らげる場所へ連れて行って
                                                      最終目的地へ」

「君」が安らかに眠れるような場所……天国のことでしょうか?そしてついにご遺体が火葬される。炎の中に漂う灰は、風によって空へと舞い上がり、ひとつになった。この場面の彼の細かい行動や周囲の状況などは、人によって様々な想像が出来そうですね。

そして2番に移ります。「僕」は「君」の足跡を追いかけ地図を描く。彼女の幻覚のようなものか、はたまた過去の2人の思い出が見えているのでしょうか。そして、どこか高い場所へ向かうために建物を登り続けます。彼には一体なんの目的が……?

「誓いは必ず守ってあげる」

という歌詞で私は少し引っかかるような感覚を覚えました。死後でも果たすことのできる約束とは。そう考えたらこの曲は「飛び降りて自殺する」というだけではないのかも……

天国で再会しよう」と2人は約束を交わしたのかなと思いきや、のちの歌詞で「地獄に飛び降りた」って書いてあるんですよね。

それでじっくり悩んだ結果、あるひとつの答えにたどり着きました。


2人は「転生した先での再会」を誓ったのだと。


これが分かった瞬間スッキリしました。それと同時にこんなに尊い愛情の形があるのかと感動したのです。2人が転生した先で再会出来る確証はありませんが、彼は「絶対に会える」という強い信念と彼女への深い愛情で飛び降りるという決断をしたのです。

そしてラストのサビへ。
渦巻く風が歌う…まさに彼が飛び降りている最中を表現しているかのようです。


「そして9.8は僕の加速度」

これは重力加速度のことです。重力加速度とは、物を自由落下させたときに重力によって生じる加速度のことです。そして標準重力加速度というものが定められておりその値は「9.8m/s2」とされています。

下に向かって加速しながら落ちていくと同時に、彼女への愛情と新しい2人での未来を想う気持ちも加速していく。 個人的には「君の魂が~」から「僕達の魂が~」になっているのも重要なポイントですね。

全てを理解した上で1枚絵をよく見てみましょう。周囲のビルがやけに伸びているような、変形している感じがしますよね。そして、この絵こそが彼が飛び降りたときに見えている景色だと分かります。
地面の方は白く光っている。

彼は、彼女の元へ、明るい未来へ向かうのです。


・なぜこの曲に“美しさ”を感じるのか?

「自殺」は当然ですが「悲しい」「怖い」などの暗いイメージがありますよね。それなのに、この曲の「飛び降りる」という行為には「愛情」「希望」が含まれていて、その上曲自体も美しく軽快なピアノの音色が重なり合い、「美しい死」へと昇華されている。私はこの神秘的な明るさに、がっしりと心を掴まれました。

昨今では「曲の雰囲気は明るいかと思ったら、歌詞が実は暗い」という作品が増えてきています。けれど本楽曲は「雰囲気は明るくて、歌詞は暗いように見えるけど明るくも見えるよ!」という少し特殊な形をしています。そして、私たちはそういったギャップに魅了されていく中でどこかに「儚さ」「美しさ」を感じているのです。

   最後に

まとめを考えることが苦手なので、上手く書けませんが…ここまで読んでくれた方ならもうこの曲の素晴らしさとMiliの魅力に気付いたのではないでしょうか?さあ、他にも聴くのです!!!!!


記事を読んでくださった全ての方に感謝を込めて。