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ピュアでいることの痛みの先にあるもの

このタイトルは音楽ライターの北沢夏音さんが、僕のニューアルバムのデラックス・エディションの中に封入されたポスターZINEの為に寄稿して下さった文章のタイトルです。

2024年4月24日にリリースされた僕の19枚目のオリジナル・アルバム

『BEING PURE AT HEART 〜 ありのままでいいんじゃない』



予約のみで完売してしまったデラックス・エディションをご購入下さった皆さんはすでに読まれた事と思いますが、北沢さんが書いて下さった文章があまりに素晴らしいのでいつか多くの方に読んで頂きたいと思っていました。

明日でリリースから3ヵ月経つのでこの機会に皆さんに読んで頂こうとこの場をお借りて掲載させて頂きます。

デラックス・エディションをご購入された皆さま
文章のみの掲載ですので何卒ご理解頂けますようよろしくお願いいたします。


ポスターZINEの掲載ページ




ポスターZINEは片面が江口寿史先生のイラストによるアルバム・ジャケットのポスターになっていて、反対の面がZINE (読み物) になっています。

では北沢夏音さんの文章をどうぞ。


カジヒデキ『BEING PURE AT HEART~ありのままでいいんじゃない』
Deluxe Edition盤
ポスターZINE ライナーノーツ

文:北沢夏音

 親愛なるカジ君について、ある友人が「どの曲もさらっと聴けるんだけど、あんなにハイ・クオリティな作品を常に出し続けているアーティストはめったにいないんじゃないか」とSNSで呟いているのを見て、「やっぱり分かる人には分かるんだよ!」と嬉しくなってしまった。なんと19枚目(!)のオリジナル・ニューアルバム『BEING PURE AT HEART~ありのままでいいんじゃない』は、そんなカジ君の才気煥発さを証明するような快作だ。
 カジ君自身の解説によれば、収録された全12曲はそれぞれ12の月をモチーフにした“カレンダー・アルバム”として構想され、四季の移り変わりを描いているとのこと。コロナ禍の中で自分の原点に立ち返った結果、あらためて〈ネオアコ〉と真剣に向き合った作品だという。1曲1曲がこれまで以上に粒ぞろいというだけでも特筆ものだが、96年のソロデビューから27年を超えるキャリアを重ねたソングライターであることを思えば、このエターナルな瑞々しさは驚異的としか言いようがない。ゴダールより年上なのに、若者たちを主人公にして人生の機微を描き続けたエリック・ロメール(「夏物語」や「クレールの膝」などカジ君がタイトルを引用してオマージュを捧げたヌーヴェル・ヴァーグ世代のフランスの映画監督)にまさしく匹敵する。カジ君自身のネオアコ定義に則り、「良いメロディと美しいギターのアルペジオやフレーズに溢れたあの頃の音楽」の最良のエッセンスが見事に昇華されている上に、日々の生活を彩るちょっとしたトキメキや恋愛模様を、クスッと笑えるユーモアを散りばめながらヴィヴィッドに描いた歌詞の素晴らしさといったら! 「作詞家としてのカジヒデキ」はもっともっと評価されるべき、と力説したくなる。
日本のポップミュージック史の中で、〈ネオアコ〉の音楽性だけでなく、その在り方と精神性を、英語詞のみならず日本語詞に込めることに初めて成功したバンドは、言うまでもなくフリッパーズ・ギターなのだけれど、彼らが繰り出す閃光のような一撃、二撃、三撃を最も至近距離で喰らった一人がカジ君だったわけで、作詞と向き合うハードルは自ずと上がらざるを得なかっただろう。フリッパーズの作詞を一手に引き受けていた小沢(健二)君が、勝手に(笑)引き上げたハードルの最大の被害者(?)は相棒の小山田(圭吾)君だと察するが、その“呪縛”をいちばん上手に解いたのは、他ならぬカジ君だったのでは……というのが、ぼくの見解だ。ブリッジ解散後、ソロデビュー前の模索期に、ネオアコ仲間たちが集っていた下北沢のクラブ〈スリッツ〉でのソロの弾き語りを、みんながビックリした(そして大笑いした!)小沢君のカヴァー(「愛し愛されて生きるのさ」だったと思うけど違ったらゴメン)で始めたのが後々効いたんじゃないかな? 《さあ驚け ヤーヤーヤー 負け認めろ ノーノーノー でもやっぱり振り向かせたいんだ みんなのこと》って、「エイプリル・フール」の歌詞みたいに。
ぼくはこのアルバム全曲大好きだけど、「エイプリル・フール」は現時点で2024年のベストソング候補の筆頭。《爆弾より大きな声で叫ぶキッズはいいな》っていうフレーズが心をかすめる度に、なんだかたまらない気持ちになる。《人生は夏草のようにいい匂いがする 自分次第で》――本当は、ほんとうにそうなんだよね! 今決めた。ぼそっと「夢、ねーなー」と呟いた姪っ子に、このアルバムをプレゼントしよう。

いかがでしたか?

江口寿史先生のイラストが届いたのも本来の締切日を大分過ぎてからでヒヤヒヤしましたが、北沢さんの文章が届いたのも実を言うともう入稿に間に合わないんじゃないかというタイミングでした。

でもこの文章が届いて直ぐに読んだ時、あまりに素晴らしくてそんな事どうでも良いような気分になり何度もガッツポーズを繰り返した覚えがあります笑。
本当に嬉しかったです!


北沢夏音さん、ありがとうございました。

こちらの写真は去る5月12日に下北沢のFlower’s Loftで開催したBLUE BOYS CLUBに北沢さんが遊びに来て下さった時のものです。
手前にいるのはオリマコトさん。

北沢夏音さんと言えば2003年にリリースされた僕のベスト盤『Enjoy The Game』の時にも最高な文章を書いて下さった記憶があります。



その文章を読み返したくてCDの中を見たらその文章が載っているようなブックレットがありませんでした。
宣伝用のフライヤー的なものに書いて頂いたのかな?と記憶の奥を辿っていますがどうにも思い出せない、、。

ご存知の方がいらっしゃいましたらぜひコメントに書いて送って頂けないでしょうか?
どうぞ、よろしくお願いいたします。


ベスト盤『Enjoy The Game』に収録した当時の最新曲『Fantastic Game』はSky Sportsの人気番組『FOOT!』の02-03シーズンのテーマ曲として書き下ろした曲です。
スウェーデンのタンバリン・スタジオでEGGSTONEと一緒にレコーディングしました。

MVの監督は北山雅和くん。
03年3月にロンドンのスタンフォード・ブリッジ(僕が長年サポートしているチェルシーのスタジアム)周辺と、アーセナルの今は亡きスタジアム “ハイバリー”周辺で撮影をしました。

歴史あるハイバリーの建物や21年前のマッチデーの雰囲気が記録されているのは、今となってはかなり貴重ではないかと思います。


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暑いね、、、

ではまた今週中に!
ヘイド!

カジヒデキ


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