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火の見櫓の類型学
火の見櫓の類型学的分類を順次アップしていきます。まずは、見張台から。
【見張台】
火の見櫓における見張台の機能は3つある。
一番目は通報装置としての役目だ。火災や天災が起こった時に危険を地域の住民たちに半鐘の音やホーンスピーカーを使って危機の発生をいち早く知らせる役目だ。通報はできるだけ遠くまで、しかも360°全方位にわたって伝える必要があるため、必然的に櫓の高さは高くなる。
二番目は、人が上がってそこから周囲を遠望し、火災や天災の発見やその状況を確認することである。実際、火の見櫓に設置された見張台のてっぺんには風見鶏がついたものがあり、火災の延焼方向を予測するうえで風向を知る事が重要だったことを物語っている。
三番目としては、火災時や防火演習時に使用する消火ホースを、天日干しして乾かす役目である。つまり消防用具の乾燥台という事になる。大抵の見張り台には滑車が付いていて地上からホースを持ち上げて櫓の最上部から吊るせるようになっている。
【見張台安全性の確保】
見張台の機能的な役目としてはこんなところだが、その機能上そこでの作業は高所作業となる。しかもだ、雨風の強い日や雪が降る極寒の夜間作業だってありえるのだ。必然的に見張台は登る、降りるにしても、見張台の上での作業にしても高所による恐怖感の軽減や安全性を考慮したものでなければならない事は言うまでもない。
一般的な火の見櫓の高さは10m~15mと言われている。結構な高さだ。見張台へは通常梯子が設置されているが、垂直な梯子は上り下りに恐怖感が伴う為、大型の火の見櫓では中間にもう一つの見張台を設けたり、踊り場を付けることで、梯子を2段に分割することで、梯子の傾斜を緩くしているものもある。また、強い風で揺れる見張台における作業の安全性を担保するためにその周囲を覆うようにして手摺が付いているのが普通である。
【見張台のかたち】
ここから見張台がどんなものなのか紹介しよう。構造的には、アングル(等辺山形鋼)3本もしくは4本で構成された主脚柱の最頂部付近に主脚の構造を利用して脚(多くの場合等辺山形鋼)に踏み台を取り付けたものである。さらに主脚柱は伸びて最頂部には屋根が取り付けられた構造をしている。見張台床の形状は丸形、四角形、三角形、多角形などが一般的で、見張台に乗って活動する人数を考慮した形になっているようだ。複数人が載る事を想定した場合は必然的に大型の見張台となる。逆に小さな櫓の場合では人が直接、見張台にのって作業する事は想定されていないようで、せいぜい防災用具など小物を載せるためにしか想定されていないようだ。
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稲敷市浮島地区にある火の見櫓。通報装置としての半鐘が残っている。台の床はグレーチング。
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香取郡に残る火の見櫓。屋根は朽ちている。見張台の床はグレーチング。
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見張台の床板はグレーチングではなく鉄板。床を支えるために補強が入っている。
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NikonZf NikkorZ MC50mm/2.8
見張台というよりも防災用具を置くための簡易台
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NikonZf Nikkor55mm/1.2
![](https://assets.st-note.com/img/1735438602-h9GHlkjAD57v6NgyJYMos0nu.jpg?width=1200)
梯子型火の見櫓の簡易的な見張台。とはいえ、高さがあるので、見張台に立てばかなり高所感があると思われる。鎖は手動ウインチ。
なお、大型の火の見櫓では最上部の見張台とは別に中間にもう一つ見張台が設置される場合もある。また、櫓の中間に踊り場を設けて、梯子を2段にしたものもあるのだが、これらについては別稿で書きたいと思っている。
以上
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