私たちが抱えている「問い」と答えらしきもの

チームスローガン

私たちは、

東の聖地から西の聖地へ


というチームスローガンを掲げています。
「東の聖地」は明治神宮球場を指し、「西の聖地」は当然甲子園を指しています。
東京のチームが持っている良さという意味では、勝ち進むと神宮球場で試合ができることです。単にプロ野球の使用球場ということではなく、アマチュア野球における聖地は古い歴史を誇る神宮球場となります。野球が伝来して150年経過しましたが、1926年より使用され、もうすぐ100年を迎える神宮でプレイできるという喜びがあります。

そしてそんなことを考えずとも、球場の大きさと、グラウンドの美しさをみれば、それだけでとてもワクワクしますね。私も選手時代に1度プレイしたことがありますが、とても美しかったことを記憶しています。

さてそんな我がチームですが、神宮でプレイすべく、そして甲子園でプレイするために、様々なことに頭を巡らせながら取り組んでいます。今回はスタッフもとい私が常に抱えている「問い」と、それに対する現状の答えらしきものついてまとめておこうと思います。内容面は選手にもミーティングで話をしているので、そもそも秘匿するほどすごいことはやっていませんので悪しからず。


抱えている問い 


抱えている問い
 ①どうやって主体性を育むか?
 ②育成と勝利をどう両立させていくか?
 ③限られた時間と練習キャパシティを最大化するには?

問いに対する現状の答えらしきもの
 ①選手主導・環境作り・ミーティングや1on1、振り返り
 ②フィジカル・スピード・ゲームインテリジェンス
 ③割り切り・最適化・ツールの使用

 ①どうやって主体性を育むか?


①について。
どのチームも「主体性」という言葉を使用します。実のところ、グラウンドでプレイするのは選手で、高校野球は選手のためにあり、指導者とはその付帯品でしかないわけです。だからこそ、『高校野球』を「高校野球」に、大人のものから選手へと手渡す。本校野球部の肝要な部分であると認識しています。

ということで、答えらしきものとして、「選手主導」としています。実際に練習プログラムの決定、運営、ミーティングの実施などもすべて選手が実行しています。そして選手自身の力で強くなる、成長するための環境づくりを、スタッフが行なっています。例えばデータ類をまとめたり、短中期的な目標を提示するのは私で、全体統括やグラウンドを取ったり多方面との調整を監督が行なったりしています。

選手は実戦練習後・試合後・週1定期ミーティングなどをそれぞれ実施し、反省や改善点を話し合っています。スタッフが話すこともありますが、基本はキャプテンらが中心となって実施しています。

ここまで書くとなんとなく良い感じのチームにみえてきますが、実際は「3歩進んで2歩下がる」ぐらいなものです。「じゃあさっきのミーティング何だったのよ」みたいなプレイが発生したり、ミーティングがやたら冗長だったり、発言しているのが特定の選手だけだったり。それでも大人が適切な距離感で見守って、「3歩進んで2歩下がるなら1歩進めているか」と思えるかどうか。耐えられずにこちらが口挟んでしまうことも多々あり、「どこまで言っていいものか・・・」と悩む日々です。

そんな運営の過程で、1人ずつ向き合って話をする必要があると感じ、1on1を始めました。スタッフ2名どちらかと面談をすることにして、それぞれの話を聴く時間を取っています。話をしていると、こちらの想像以上によく考えている選手もいたり、課題感はあるけどなかなか行動にできない選手もいたり。本校のようなスタイルならば、1人ずつ向き合っていくことに時間をかけてよいと感じています。

 ②育成と勝利をどう両立させていくか?

②について。
育成と勝利の両立は矛盾している感じもあるし、ダブルスタンダート感もあるのですが、相反するものを追いかけていることが面白いのかなと考えています。成長するから勝利できるし、勝利していくから成長していく。個人が伸びるためには育成プログラムがないとダメだし、結果に繋がっていかないと伸びるものも伸びなくなってしまう。双方が互いに影響し合って、相乗していくというのがここ2年ほどの実感です。

具体的な手順としては、こんなイメージを持っています。

体を鍛える→球速・打球速度が速くなる→ゲームを有利に運べるようになる
 →主体的な判断を繰り返す→あらゆる場面で適切な判断ができるようになる


 土台として、そもそも一定の「フィジカル」と「スピード」がないと勝負できません。ここはかなりしつこく細かく追求しています。かつ、この2つを持ち合わせていることで、それなりに有利にゲームを運べることを体感しました。

 しかしそれだけでは結局ダメで、より野球を深く理解し、グラウンド上で体現する必要があります。①と重なる部分ですが、日頃の実戦練習などの主体性が影響しているようです。自分でグラウンド上で意思決定し、適切な判断を行なっていく。ゲームインテリジェンスと表現していますが、グラウンド上での瞬間的な判断力は受け身では育たないのでは、と仮定しています。

 本校の場合、強豪校と比較すると個人の能力がそもそも劣っています。その差はポール間を何本走ろうと、スイングを毎日1000スイングやろうと、ノックをいくらやろうとも埋まることはありません。かつ野球の能力の欠陥は、基本的にフィジカル不足です。何が具体的に不足していて、何を伸ばせば良いかを具体的にする。育成にフォーカスし、全選手の底上げを図ることで、結果的にチームの勝利がみえてくるのかもしれません。というか、個人の育成にフォーカスしてはじめて、チームの勝利が見えてくる。こんな感じですね。

書きながら思いましたが、「勝利」というより「野球の深い理解」がチームにとって大切なように感じてきました。ここはまた考え直してみます。

 ③限られた時間と練習キャパシティを最大化するには?

③について。
とはいえ、本校野球部に「時間」と「専用練習場」はありません。
平日は6時半が完全下校、土曜日には午前授業があります。大学進学を考えて入学している生徒がほとんどなので、勉強もおろそかにはできません。

また、「いつでも好きなだけ練習できる隣接グラウンド」はなく、人工芝の校庭はテニス部・ソフトボール部と共用で、インフィールドが取れる程度のもの。他の部活が使用している場合は、ゲージ打撃や空きスペースでトレーニングなどを実施。大学のグラウンドを使用できる日は、電車など含め1時間ほどかけて移動します。オンシーズンであれば、平日河川敷のグラウンドで1〜2時間ほど練習をすることもあります。

まとめると、練習会場は主に3箇所、できる練習で分類すると下記のとおり。

・校庭(人工芝) ゲージ打撃、ウエイト、各種トレーニング、内野ノック
・河川敷(土)  ウエイトトレーニング以外は練習可能。主に実戦練習
・大学G   主に実戦練習 ウエイトも可能 


オンシーズンは、
平日河川敷or校庭、土曜日大学G、日曜日練習試合

オフシーズンは、
平日〜土曜日 校庭、日曜日大学グラウンド


こんなイメージです。

ここで明確なことを2つ挙げることができます。
①割り切って個人練習の時間がたっぷり取れる
②最適化するとすべての練習ができる

平日校庭練習は、基本的に「課題練習」つまり自主練みたいなものがメインです。こちらが課しているものもありますが、自分が課題を理解してきちんと取り組めているかどうかが全てです。いわゆる「全員で同じ練習をする」が基本的に平日は不可能なので、こうせざるを得ない。というか、②の話とつながりますが、個人を伸ばすためにはむしろ好都合なのだと考えられます。

かつ、校庭なら内野ノックや内野だけの実戦が可能です。河川敷や大学Gに行った際に外野ノックやゲーム形式などを実施すれば問題ありません。したがって、「この場所ではこれをやる」が明確で、ある意味分散せずに集中できるわけです。

懸念点は当然あります。「量」は足りないかもしれません。本来はもっと打った方がいいだろうし、もっとノックを受けた方がよいのだと思います。しかし量をやるほどの時間と練習キャパシティがないのです。だから解決方法を具体的に明らかにしていく。その一環としてあらゆる機器を動員してます。例えばスピードガンで打球速度や野手も速度を測ります。ラプソードなどを使って、投手は具体的に技術改善のアプローチを取っていきます。

データは全てスプレッドシートで共有、フォームを活用して振り返りを行う、目標設定シートは紙で書いてロイロノート(学校用のアプリケーションです)で提出。スピードガンなどの機器も確実に必要ですが、学校のICT整備が進行していることも追い風の一つです。


まとめ

なんとなく本校の全体像と、今取り組んでいる部分をさらっと紹介する形になりました。
次回以降で、取り組みを掘り下げて書いてみようと思っています。




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