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良いも悪いも、生まれてきてしまったのだから

午前11時 洗濯物を干し終え、和室の窓辺にて猫のサツキちゃんと日向ぼっこ

天気は曇りだけれど、空を見上げてみると雲は速いスピードで冬空を走っていく

ところどころの雲間から太陽の光を浴びることができそうだと思って、ひとまず物静かな猫のとなりに座り、靴下を脱ぎ、手のひらを空に向けて広げる

あともう少しで雲間から太陽が姿を現す

差し込み始めた光の眩しさに瞼を閉じる

冬でも直射日光は暖かい

窓から見える庭の景色

風に吹かれる白い花たちも、レンガの隙間から生えた緑色の苔たちも、日光を浴びてとても美しく輝いている

向かいの家のセイタカアワダチソウの軍団も、こんなに綺麗だったのか

綿毛をたっぷりとつけた姿は、まるで雪が積もったクリスマスツリーのよう

セイタカアワダチソウは毒を出して他の植物が生えてこられなくしてしまうらしい

そしていつか自分たちの出した毒で自分たちもやられてしまうのだという

なんだか、すごい植物だ 昔のアメリカのロックスター並みに壮絶な人生だ

強く激しく生きて、自滅的に死んでいく

少しだけ、好き度が増す ほんのちょっとだけ、セイタカアワダチソウに憧れの気持ちが芽生える

私にはそんな生き方は出来ない、死ぬ時も出来るだけ静かに

そうだよ、死にたい 死にたいなぁ 死にたいんだよなぁ

ああ死にたい、たまらなく死にたいのだけれど

でも少しだけ 今は、この時間だけは

こうしてサツキちゃんとこの心地良さを共有できることに感謝しよう

良いも悪いも、生まれてしまったのだから

しょうがない

生まれてしまったのだから、気難しくて甘えん坊な猫と一緒に窓の外を眺めて、少しの時間穏やかに日向ぼっこをしよう

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