医師が都市に集中!?美容外科ブームが日本の医療現場に与える影響
ここ数年、日本では美容外科クリニックが急増しています。厚生労働省の調査によると、2023年までの3年間で美容外科クリニックの数が40%も増えたとか!これは他の診療科と比較しても突出した成長です。
一見すると活気にあふれているようにも見えますが、この急増には少し気になる背景と問題も。この記事では、その影響について考えてみましょう。
美容外科が増加した理由とは?
1. コロナ禍で美容施術がしやすくなった
コロナ禍でマスクを着ける生活や在宅勤務が増えたことも、美容施術のハードルを下げました。顔の手術を受けても周囲に気づかれにくい環境が整ったわけです。
2. SNSが心理的ハードルを下げた
SNSでのビフォーアフター写真や体験談のシェアも、施術への抵抗感を軽減させました。「この人もやってるなら私も」という心理が働きやすくなったのです。
3. 自由診療による収益性の高さ
美容外科は保険診療ではなく自由診療。料金を自由に設定できるため、大手チェーンが優秀な医師を集めながら事業を拡大しています。
しかし、深刻な問題も…
医師不足の「偏在化」
美容外科クリニックが増える一方で、地方や小児科、産婦人科などの診療科では深刻な医師不足が進行中。都市部に医師が集中し、地域医療が圧迫されています。
医師の過重労働
医師が不足する診療科では、残った医師たちが過重労働を強いられています。これが医療の質の低下や離職率の上昇につながり、悪循環が起きています。
政府の取り組みと課題
1. 地方の医学部定員増加
医師不足地域向けの「地域枠」拡大を進めています。ただし、これが全国的に公平な医療提供につながるかは、まだ議論の余地があります。
2. 都市部での新規開業制限
都市部での医師の新規開業を抑え、不足地域での開業を促進する政策を試みています。しかし「職業選択の自由」との兼ね合いで難航しています。
3. 地域医療に精通した医師の育成
地方勤務経験を積むことを奨励し、地域医療の質向上を目指していますが、すぐに効果が出るわけではありません。
海外の事例と日本の未来
英国やドイツでは、医療機関や医師の配置を計画的に整備しています。日本もこうした仕組みを取り入れることが求められます。美容外科が拡大する中で、バランスの取れた医療制度を実現するための努力が不可欠です。
まとめ
美容外科クリニックの増加は、消費者にとって選択肢が広がる一方で、日本の医療全体に新たな課題をもたらしています。医師不足の偏在を解決しつつ、美容外科を含む医療全体が共存できる体制づくりが求められています。
私たち一人ひとりも、医療について関心を持ち、持続可能な医療システムへの理解を深めていくことが大切ですね。