【無駄に思える思索】ついに落武者になった
昔はウルフだった。
ウルフというのはウルフヘアのことで、ボーイッシュさと小顔効果と可愛らしさを兼ね備えた万能な髪型である。
初めて見た時は、なんじゃこの髪型!とびっくりしたが、人間は不思議なもので、インスタグラムや街中でよく見かけるようになるとなんだか可愛いな、自分もやりたいな、と思うようになる。
ウルフヘアは顔まわりを通常より多く長めに残し、アイロンで内巻きにセットするのが常である。言い換えれば、セットしないウルフはただの無造作なのだ。
ところで私は、随分と前にウルフを卒業している。飽き性の本領を発揮し、定期的に髪型を変えているのだ。
しかしながら、このウルフの顔まわりの髪の毛はどうも邪魔くさい。どうしても周りの髪の毛と馴染んでくれず、いつも視界の隅に入ってくる。耳にかけても落ちてくるし、ピンで留めても夕方にはぼさぼさヘアが誕生する。
容姿の整頓を煩わしく思ってしまうためにまあいいか!と気にしないことがほとんどであるが、集合写真などを見ると私のいるはずの場所に落武者が立っていてびっくりする。
追い詰められてぎりぎり状態の落武者だ。
そう考えると世の中の女子たちは本当にすごい。夕方になっても街中に落武者が溢れることはなく、全員が何かと戦うヒロインだ。敗者はどこにもいない。
普段からもっと鏡を見て、髪型に気をつけようと思った。
でもね、ほとんどが降りて私だけの終電で正面の窓に映る亡霊を見て、そんな亡霊でも愛してあげたいと思ったよ。
【終電上での投稿】9/17
ダーツで大負けした帰り