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課題山積、どん底での受講。自分を見詰め、原点に立ち返るきっかけに
ピュア・エッジ「Edge Woman 女性向けリーダーシップ開発トレーニング」受講生インタビュー、今回は、ご自分が立ち上げたNPOで代表を務める村上綾野さんです。組織リーダーとしての行き詰まりを感じて、ご受講くださいました。
村上 綾野(むらかみ あや)さん
特定非営利活動法人HUG for ALL 代表理事
自分のリーダーシップの在り方を学びたかった
―どのような動機で受講を決められたのですか?
すべての子どもたちに「安心できる居場所」と「生きる力」を―。そんな想いからHUG for ALLを立ち上げて、ことしで7年目になります。活動も広がり、団体の規模が大きくなっていくにつれて、さまざまな課題も生じるようになってきました。そうした課題の根本的な原因のひとつに、私の「リーダーシップの在り方」があるのではないかと考えて、こちらの講座でしっかり学んでみようと思いました。
そのころ、目標を立てて、そこに向かってグイグイ引っ張っていく強いリーダーシップを期待されているような気がしていたんです。自分自身に「そうあるべき」と考えること・それができないことが、すごく苦しくて。どうしていいか分からず、メンタルがダウンして、子どもたちとの活動の際にも心から笑顔になれないときさえありました。もう、どん底でしたね。
受け止め方が変わった
―受講をはじめて、どのような変化がありましたか?
まず、普段のやりとりでの受け止め方が変わりました。NPOの仲間から何らかの指摘を受けた際に、自分自身を否定されたような気がして傷つくことも多かったのですが、そういうのが減っていきました。それまでは行動に対する指摘や批判を受けると、まるで自分の価値観や存在が全否定されたような気持ちになっていたんです。でも、そうではないんですね。指摘の多くは個々の行動についてのものであって、私自身が否定されているわけではないんだと、少しずつ捉え直せるようになっていきました。
それから、心理的安全性についても大きな気づきがありました。心理的安全性の高い組織でありたいとずっと思っていました。でも、誰かの心理的安全性を担保しようとすると、別の誰かの心理的安全性が崩れてしまったり、感情のシェアをすると、伝えられたほうは傷ついたりといった状況が結構起きてしまっていて。みんなの心理的安全性を高めるにはどうすればいいのかと、ちょっと迷子になっていたんです。
講座のなかで、「感情を客観的に取り扱う」という話があって、なるほどと。私たちはいままで、感情を直接ぶつけあっていたのかもしれないと気づかされました。そこに注意を向けはじめると、誰かから感情をぶつけられた際にも、反応をするのではなく、相手の存在をしっかり受け止めた上で「それはこういうことだね」と捉えられるようになっていきました。まだまだトレーニングが必要ですが、私にとってはとても意味のある変化だと感じています。
―リーダーシップについては、どのような気づきがありましたか?
強いリーダーシップだけじゃなくて、いろんな形があっていいと、いまはよく分かります。私自身がこうありたいと思うリーダーシップと、仲間が期待するリーダーシップが違っても、まったく不思議ではないんですね。そこで私の在り方を押し通すのではなくて、それぞれの価値観をちゃんと理解して、できないところは互いに支えあいながら進めばいいんだなと考えて、いま関わり方を工夫しているところです。
自分をみつめて、本当に大切にしたい価値観に気づいた
―いっしょに活動する仲間にも、これから変化が起きていきそうですね。
HUG for ALLは私がやりたくてやっているのだからと、プライベートを全部犠牲にしてでもやらなきゃという気持ちで続けてきました。もしかしたら、意図せずに周りの人にも「あなたも無理しなさいよ」というメッセージを発していたのかもしれません。みんなに対して「大丈夫だから、しんどかったら休んでいいよ」とか言いながら、私自身がしんどくても休まなかったので。それもあって、団体としても頑張るべき、闘うべきみたいなマインドでずっと走り続けてきたようなところがあります。
でも、受講しながら自分自身を何度も見つめるうちに、「私たちが自己犠牲しているような姿を子どもたちに見せたいんだっけ?」という疑問が生まれてきたんです。私たちが苦しそうにしている姿を子どもたちが見たら、「大人って大変そうだな、苦しそうだな」と感じるかもしれないと。
試しに、みんなに虚勢を張るんじゃなくて、「私にはムリかも」って素直に弱音も伝えてみるようにしたんです。すると、場の空気が大きく変わりました。柔らかくなりましたね、とくにそれぞれの表情が。これは大きな発見でした。
どん底からの受講でしたが、自分を見つめ、本当に大切にしたい価値観に気づき、活動をはじめたころの原点に立ち返るきっかけになりました。これからも現場実践を重ねていきます。有難うございました。
思いが強くまじめで一生懸命な組織リーダーほど、自分を叱咤する「べき論」に駆り立てられて頑張り過ぎ、自分やメンバーを疲弊させてしまう危険性があります。うまく行かないと感じたときに、外の世界を何とかしようとするのではなく、立ち止まって自分の内側に意識を向けて、囚われに気づき、新しい選択をする。リーダーとしての姿勢の大切さを、村上さんから学ばせていただきました。
「Edge Woman 女性向けリーダーシップ開発トレーニング」の詳細についてはHPをご覧ください。
インタビュー/執筆:大村 隆