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最悪の人間関係の中で作られた名作 フリート・ウッドマック『噂』レビュー

『噂』はフリート・ウッドマックが1977年に発表したアルバムです。ウィキペディアによると2012年の時点で全世界で4000万枚売れたそうで、現在ではさらに売り上げを伸ばしているのではないかと思います。シングルカットされた「ドリームス」もよく売れた曲で、全米1位の記録を残しています。

これが出たときはまだ子供だったので、リアルタイムで聞いたわけではありません。大人になってから聞いて、聞いたときにすぐに好きになりました。ポップで親しみやすいメロディーを持った曲が多くて、親しみやすいです。洋楽を聞かない人にもお勧めかもしれません。

このアルバムが作られたときにグループは最悪の人間関係にあったそうです。具体的に言うと男女関係の失敗です。ギタリストのリンジー・バッキンガムと女性ボーカルリストの一人スティーヴィー・ニックスは恋人同士だったのですが、うまくいかなくなり、もう一人の女性ボーカルのクリスティーン・マクヴィは夫のジョン・マクヴィと離婚。

暗くてやり切れない雰囲気が漂っていたのではないかと思いますが、アルバム自体は聞きやすくて、完成度が高いです。そんな人間関係にある人たちが作ったとは思えません。音楽を作ることでメンバーは結束したのだと思います。良い音楽には人をまとめて、団結させる力があります。

『噂』が作られた頃のフリート・ウッドマックには素晴らしいソングライターが3人いました。ソウルフルなボーカリストであり、親しみやすいメロディーが書けるスティーヴィー・ニックス、深みのある声が印象的で、美しいメロディーを持つ曲を作ったクリスティーン・マクヴィ、ハイ・トーンのボーカルが魅力で、ギタリストとしても優れていたリンジー・バッキンガム。

『噂』ではこの3人のミュージシャンのボーカルのインタープレイが生かされて、忘れがたいハーモニーを作り出しています。クイーンの例からわかるように良いソングライターが複数いれば、そのグループの音楽の領域は広がり、多くの人を惹きつけることができます。フリート・ウッドマックもそんなバンドです。

このアルバムの中で私が一番好きなのは6曲目の「ソングバード」です。クリスティーン・マクヴィによる曲で、繊細で美しいメロディーを持っています。彼女のピアノの弾き語りを聞くたびに涙腺が刺激されます。この曲は最近カラオケに入ったので、練習していつか歌いたいです。

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