筋膜の基礎知識 ~筋膜へのアプローチで結果的に運動も自然と変わる~
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1. 筋膜の世界へようこそ〜!
筋膜は、すべての臓器、筋、神経および小さな筋線維までをも包み込み、かつ結び付け、人体における連続的な張力ネットワークを形成しています。
昨今までの解剖において、筋膜は“何かを見るため”に最初に切除しなくてはならない白い包みでしかなかったのです。つまり、解剖学の本は、出来る限り筋膜を切除して、いかにきれいで整った形で運動器系を出すことができるかということを競いあってきていたのです。
綺麗な絵で有名なプロメテウスなんかはまさしく筋膜を切除した状態で美しく解剖図を展開していますよね!
しかし、筋膜に対する研究がすすむにつれて「これはただの膜ではない!」という見解になってきています。
今まで他の臓器とは分離した単なる器官に過ぎないと考えられていた「腸間膜」は、実はほかの臓器と連続した構造になっており、消化器系の臓器のひとつとして機能していると、2016年にアイルランドのメリック大学病院のJ Calvin Coffey氏らの研究チームによって発表されました。
この発表を受けて「グレイの解剖学」という権威のある解剖学のテキストが腸間膜に関する記述を修正・改訂しています!
いままで「膜」として捉えられていた腸間膜の機能を調べていくと「臓器」として機能しているという結論に至ったのです。
それが2016年末の話ですから、筋膜の研究はまだまだ発展途上とも言えます。しかし、それは同時に今までの考えだけでは、身体を捉えきれていないということにもなります。
身体はひとつです。
心臓はポンプで、血管はチューブ、筋肉と関節は滑車とベルト・・・そういった考え方は力学だけで考えれば成立するかもしれません。
人体における分子構造は解明されていますが、その分子をすべて集めても生命は誕生しません。身体を分解していき、それを再度集めても生命は誕生しません。そういった要素還元論では生命は捉えきれないのです。なぜなら、身体はもとからひとつだからです。
そして、その身体を分けて考えていった時に色々な器官を繋げている(結合させている)組織が、筋膜(結合組織)です。
もしかしたら、ここに要素還元論だけでは説明しきれない生命に秘密があるのかもしれません。
【要素還元論って?】
複雑な全体を分解してパーツを調べることで全体を理解しようとする一般的に用いられている科学的手法です。(wikipediaより)
筋膜について学んでいくことで今まで膝は膝、肩は肩、腰は腰、と考えていた部位別のアプローチという考えは少なくなっていきます。また、筋膜を学ぶことで肩の痛みの原因が腰にあったり、腰の痛みの原因が足首にあったり・・・そういった現象が理解できるようになります。
このnoteでは、筋膜についての基礎を分かりやすく徹底的に記載してあります!!
筋膜系のアプローチは、色々なものがあります。
筋膜リリース、アナトミートレイン、筋膜マニピュレーション、オステオパシーやトリガーポイント・・・
これらのアプローチをしている方たちの共通点ですが、筋膜へアプローチすることで結果的に自然と姿勢が変わったり、運動が変わってきます。これは筋膜だけ学んでいても分からないところなんですね。
そして姿勢は筋骨格系によるバイオメカニクス、筋膜は筋膜・・・と要素還元論的に考えていっても説明ができない部分でもあります。
筋膜の基礎と筋膜へのアプローチによって運動が変わるという基礎理論、また筋膜の機能異常がどういった状態なのか、筋膜の機能回復はどのように行われていくのかを書き記していきます。
以下のような方達は購入をオススメします!
当てはまった方はその思いが解決できるように頑張って書きました!!
・筋膜リリースやってるけど、実際のところ筋膜に介入して何が変わるのか説明できない
・筋膜が重要でアプローチすると勝手に運動も良くなるけど、それが何故かは説明できない
・筋膜に興味があるけど講習会は高いし、ひとまず筋膜って何なのか知りたい
・アプローチ方法は習ったけど、基礎的な筋膜の生理学的なところがわからない
・筋膜を手技を習ったけど、本当にそれだけでいいのかフラットな気持ちで基礎から勉強したい
・筋膜の機能異常がどういった状態なのかよくわかっていない
・筋膜って筋肉の膜のことでしょ?と思っている
・流行ってる気がするけど本は高いしセミナーも高い…手軽に勉強したい
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2. 筋膜の定義
国際筋膜研究学術大会にて「Fascia」は「人体に広がっている結合組織系の軟部組織成分」と示されています。(Findley & Langevin 2009)
つまり、結合組織の中から軟部組織成分のところが筋膜だということになります。
では、まず「組織」というものが何なのか?というところから見ていきます。
(1)組織って?
生物学における組織とは、何種類かの決まった細胞が一定のパターンで集合した構造の単位のことで、全体としてひとつのまとまった役割を持ちます。生体内の各器官(臓器)は、何種類かの組織が決まったパターンで集まって構成されています。
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