蔵書紹介:『日曜学校に応用したる 絵噺と人形芝居』(1927年)
日曜学校叢書第2編
『日曜学校に応用したる 絵噺と人形芝居』
日曜学校叢書刊行会編 法蔵館 昭和2年(1927)
日本で最初の「現代人形劇」の本といえる。表示は「人形芝居」だが、当時「人形劇」というのはあまり使われておらず、「伝統人形芝居」と違う流れである「人形劇」表記がこの頃からひろまっていく。
出版社の法蔵館は1850年創立の京都東本願寺近くにある老舗の仏教出版社で、はじめてこの本を手にしたときに、お寺さんに置いてあるお経本と同じだと思った。今でも手にすると抹香が香るような錯覚を憶える。
日曜学校とは、すなわちお寺の運営する子ども会で、児童教化として「絵噺」と「人形芝居」を題材としているも、欧米の人形劇にも言及し、「ここ数年前からやや組織だった人形芝居の運動がひろがりはじめ(中略)大方の新しい運動を望んでやまない」と1923年に始まった千田是也たちの「新興人形劇」や倉橋惣三の「お茶の水人形座」等の「現代人形劇」の動きを注視し、人形芝居では観客層ではなかった「子どもたち」を対象としていることも紛れない「現代人形劇」のはしりの出版物といえる。
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著作は刊行委員会編とあるが、少なくとも「人形芝居」は内山憲堂が書いたと思われる。
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