動きに乗る
「タイミングと拍子が大事なんですよ」
先生が、隣で一緒に動きながら教えてくださった。
やりたい動きが馬だとしたら、
馬に乗れる瞬間は一瞬だと、私は知った。
その一瞬を逃したら、もう動きには乗れないんだ。
手のひらが球に触れているとする。
球を押すような動きから、球を引き込む動きに切り替わる瞬間
その瞬間に歩を進めれば、身体全体が動きに乗っていける。
上半身と下半身がつながった状態で動ける。
でも、その一瞬を逃してしまうと
私は動きにおいていかれる。
振り落とされてしまうんだ。
一瞬を捉えると、動きの中心が身体の外に出ていく。
台風の目みたいな渦の中心があるとしたら
中心が手と胴体の間にくる。
動かされているとか、運ばれているみたいな感覚がする。
一瞬を捕まえられなくて、動きに乗れなかった時は
中心は身体の中に入ったままだ。
動かない身体の周囲で腕だけが回っている。
タイミングがシビアだなと思った。
一瞬しか、動きにつながる扉は開かないんだもの。
でも、その扉を通りぬけることができれば
磁石に吸い寄せられるみたいに身体が動く。
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