鎖の切れたブランコ
「ブランコに乗ると、重力との関係がわかりますよ」
ふむふむ、そうなのか。
先生に聞いた私は、夜誰もいない公園のブランコに乗る。
ブランコを漕ぐと、身体の中で重さの塊が揺れ動く。
身体の中で大きな球が移動しているみたい。
ここが動いていないと、
動いているのに動きの感じられない動きになる。
ここが動いていないと、
気持ちの変化の感じられない平坦な台詞になる。
でも、私の身体は、鎖の切れたブランコなんだ。
戻って来られないの。
行ったら行きっぱなし。
行きっぱなしになるのがわかっているから行けなくなって、歯痒い思いを噛みしめる。
どうしたら、鎖の切れていないブランコになれるのだろう?
かやの会で先生が教えてくださった。
(詳細は先生にお尋ねください)
例えるなら、鎖の根元から動かそうとするのではないんだと。
根元ではないところから骨を動かしているのだと。
昨日の今日だから、まだブランコには乗っていないけど
そうすると、鎖の切れていないブランコになれる予感がしている。