歩きじゃないのに歩いてる

お能のワークショップに行ってきた。

摺り足って面白い。

ちょっと足先を浮かせる瞬間って、
水面からポコッて空気のあぶくが出る瞬間みたい。お魚がパクッて餌を咥える瞬間みたい。


先生が、動きを直してくださる。

「それだと歩きになってしまうんですよ」


不思議なんだよね。

摺り足って、全然普通の歩きじゃないの。
私の普段の歩きと、全く違うことをしているの。

なのに、(歩いているな)って感じさせるんだ。


逆に、普段の歩きをするとね、何も見えないの。
摺り足みたいに「歩く」が浮かび上がってこないんだ。
何もしていないみたいに見える。

歩いているのに歩いてないの。

歩いているけど、「歩く」という表現にまで昇華されていないの。


きっと、人形のどの動きも、摺り足の「歩く」と 同質のものが必要なんだ。

私は、まだ全然できていないけど。


摺り足をすると、周りの空気がじんわり動く。

自分の身体の表面が空気を押している感触がする。

自分の動きじゃないみたい、能の動きって。


お能って、自分が動くことによって動く、    周りの空気を見せているみたいだな


なんだかそんな感じがした。

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