「伸びる」の質

もしかしたら、今までの「伸び」は伸びていなかったのかもしれない。

今までの伸びは、直線的な感じのする伸びで
伸びようとすると、すぐどこかにぶつかってしまう
行き詰まり感のある伸びだった。


先生に教えていただきながら
どこから伸びていくのか
その支点を身体の奥へ奥へとずらしていく。

(どこからなのかは、先生にお尋ねください)


奥を起点にして伸びていくと、伸びの質感が変わる。すぐ詰まってしまう伸びではなく、弾力のある伸びになる。

(この伸びは、終わりのない感じがする)

終わりがないわけないんだけど、そんな気がした。


翌日、人形を遣う時も、起点を奥にしてみたんだ。

動きの線が丸みを帯びた。
角がとれる、そんな感じ。

先生も同様の趣旨のことを ご説明してくださっていたけど

起点が奥から遣える人は、角、動きのエッジも立てられる。

そのエッジは、浅い起点からしか遣えない人のエッジとは、キレと速さが段違いになる。

ゆっくりと速く、両方を行き来できるんだ。


浅い起点からだと、ちょこまか速くしか遣えないの。
ゆっくりな速度に耐えられないんだ、身体が。


(ここから遣えないから、私の動きは窮屈だったんだな)

伸びやか(当社比)に動く人形を観ながら
ふむふむ納得していた。


余裕のない時って、ギュッと胴串を鷲掴みにしてしまったりする。

そうすると、人形と自分が近い気がするんだ。
近すぎて、ぶつかりあうのだと思う。

奥を起点に遣うと、人形の場所は そのままで
私が人形から遠ざかるような体感がある。

人形と私が遠い感覚だと、良い動きになるみたい。


これね、
私が人形から遠ざかるのがミソだよ、多分。

人形を私から遠ざけても何もおこらないよ、きっと。

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