水面に映る月
刀禅同好会の先生が教えてくださった。
「自分は池の中央に立っている」
「相手は水面に映る月だ」
そう おっしゃった剣の達人もいると。
他にもいろいろ教えてくださったんだけど
私は この例えが しっくりきた。
水面に映していると
直接観るんじゃなくて、間接的に観る感じになる。
そうすると、全体がよく観えるんだ。
直接目でギュッと観ていると、被写体に寄りすぎた
カメラになる。
毛穴映されて「これは なんの動物でしょう?」って言われてる感じ。
「なんでしょう?」って言われても、なんだか
わからないよ。全体像が掴めない。
水面に映すと、被写体と丁度良い距離になる。
すると、詰まっていた呼吸も楽になる。
不思議なんだ。
水面に映すと、鳩尾にぽっかり穴があいた感覚に
なる。
自分の身体の中に空洞ができる。
この空洞のある身体だと
「動かないで動いている」
身体を動かしているんじゃなくて
身体が運ばれていく。
そんな感覚になっていく。