カブトムシと猫と最中(もなか)
刀禅のお稽古で、手と手を触れ合わせた瞬間
ほわっとした輪郭の方が、腕は重たくなるんだって
わかった。
やる気のありすぎる手だと、表皮が硬くなるんだ。
なんか、カブトムシみたいな甲虫と 手を触れ合わせている気がしてくる。
腕の輪郭が、プラスチックケースみたいにカチッと
してるから。
腕がカブトムシになると、腕の中身は軽くなっちゃう。
硬さは伝わってくるんだけど、重さは伝わってこない。
カブトムシを掴んで持ち上げる時と、同じ感触。
猫って、身体の輪郭がほわっとしている。
気を許しあった猫を持ち上げる時って、
輪郭が曖昧で、ずっしりとした重さを感じる。
犬は、カブトムシほど硬い輪郭じゃないけど、
太い筆ペンで書いた輪郭を感じるんだよね。
なんでだろう?
まあいいや。
「こうしたいんですよ」
と、おっしゃる先生の腕は、
輪郭がほわっと空気にとけていて、
真ん中に暖かい重さだけがあった。
最中(和菓子)の皮がなくて、あんこだけが輝いて
見える状態だわ、と思った。
カブトムシ?猫?最中?
いったいお前は何を語りたいんだって感じだけど
私が言いたいのは、
輪郭が とければとけるほど、重さが生まれるみたいですよ
ということです。