吹き矢とかマッチを擦るとか

能の先生が謡のお稽古中、私には

「吹き矢の感覚が足りないんですよ」

と教えてくださった。


言われた瞬間

(あ! 集めることができてないんだ)

って わかった。


わかったからって、すぐできるようには ならない。でも、何ができていないのかが観えてきた。


数日後、歌のレッスンに行った。

「吹き矢」のおかげで、歌の先生が良くアドバイスしてくださる「跳ね上げて」の意味が少しわかるようになった。

集めることができていなかったから、跳ね上げることもできなかったんだ。

「吹き矢」のことを話したら

「その例え、すごいわかる」

先生は、何度も頷いていらっしゃった。


私は「吹き矢」と思うと、若干上から押さえ込みたくなるので、
口の外で「マッチを擦る感覚」として捉えるのが一番しっくりくるみたいだ。

やっていることは同じです。

(若い方はマッチ知らないよね。今だと、キャンプのファイヤースターター擦る感じとか火打ち石打つ感じ? 余計わからないか)


楽しく試行錯誤していたら、自分に欠けているところが、もっと良く観えてきた。

声を外に飛ばせてなかったんだな、私は。

水に例えたら、口元からダバダバこぼしちゃっている発声だったの。

鉄砲魚みたいに、ピュッて飛ばせてなかったんだ。

声が飛ぶとね、手裏剣がスパンッて刺さるみたいな
爽快感がある。

あとね、身体の中で、
上に行く動きと下に向かう動きが同時に発生する。

そして、吸おうとしなくても、次の息が勝手に入ってくるんだ。


(吹き矢すげえ)

心の中で、私は先生に「ありがとうございました」と言った。

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