途切れない不思議
ゆっくり動くとか、動作をつなげるの意味が
わからなくて、青空太極拳教室に ふらっとお邪魔
したんだ。
ニコニコ のびのびした雰囲気で、気持ち良かった。
そこのお教室は、悪い意味でピリついた感じが
微塵もなかったんだ。
私は、ちゃんとやらなきゃ とか、失敗しちゃいけない とか、義務感に がんじがらめになっていて、
お金をいただく以上、それは なきゃいけないものなのかもしれないけど、
でも、ありすぎても いけない
もしくは、あって良いんだけど、自分を縛る方向に
働かせるものではない
のかもしれない
なんて思いながら、初回のお稽古は帰路についた。
先日、また ふらっと参加したんだ。
和やかで楽しい感じで、お稽古は進んでいくんだけど
でも、この先生、もしかしたら
さらっと所々に、動きの肝のようなものを
紛れこませているんじゃないだろうか?
なんだか そんな気がした。
稽古の翌日、不思議なことが あったから。
「手の ここは伸ばして使いなさい」って、教えていただいたんだ。
(ここが どこなのかは先生にお尋ねください)
翌日の上演で、上演前 手にはめて遣う片手遣い人形の動作確認をしていた。
(そういえば、先生、ここ伸ばせって おっしゃっていたっけ)
該当箇所を伸ばしたらさ、
なんか、人形の背筋がシャンとした。
人形の中に背骨ができた。
(あれ? なんか立ち姿の印象が違うぞ?)ってなった。
???ってなりながら、開演時間をむかえた。
人形を遣っている最中も
(あれ?)って なったんだ。
私、巻き肩傾向が強くて、人形遣っている時、
時々、左肩が痛くなる。
(また巻き込んじゃってるな)
気づいたら、肩や腕をずらして調整するのが常だったんだけど
(……今日、肩全然痛くならないぞ)
なぜだ? 巻き込まれてこないぞ。
? 先生に言われたところを伸ばしているから?
続けて上演している最中、さらなる ? があった。
自分の動きや台詞が終わっても、つなげておかないといけない何かがある。
文楽の太夫さんの芸談では
「息は切っても縁切るな」と書かれているもの。
私達の間では
「気持ちが途切れてるよ。気持ちつなげて」とかって言われるもの。
この何かは、絶対に途切れさせてはいけないんだ。
それがさ、途切れないのよ。
いつもはさ、途切れさせちゃいけないって頑張って
つなげてるんだけどさ、
途切れないのよ。
台詞言いおわって、相手の台詞聞きながら
(あれ〜?途切れないな~?なんで?)
リアクション取りながら
頭のすみっこで こっそり、なんで?なんで?って
思ってた。
私、先生に言われたところを 伸ばしてるだけだよ?
上演が終わり、撤収作業に入る。
衝立の幕を ベリベリはがす。
(……肩、全然痛くならなかったな)
はずした幕を バフバフたたむ。
(……なんか、途切れなかったな)
チラッと手を見る。
(ここを伸ばしていただけだったのに……)
不思議過ぎて、多分 今の私は、ビクターの蓄音機
聞いてるワンちゃんみたいな顔してる。
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