この嘘つき目
猫派は一歩の目測を誤って、空振りを繰り返す。
(あれ〜、切っ先届くと思ったのに〜)
切っ先が届くと思ったところで立ち止まって
木刀を振るうんだけど、届かないのよ。
目で見て(ここだな)と思うところで立ち止まっているのに。
スカッスカッ
空振りを繰り返していたら、疑念がわいてきた。
(私さ、目に騙されてない?)
(目ってさ、事実じゃなくて、願望を見せてるんじゃない?)
猫派の腕はこんなに長いよ(本当は短い)とか
ゴールは近いよ(本当は遠い)とか
目には願望が まぶされている。
といっても、目で見るしかないんだけど。
でも私は、目だけに頼るのをやめた。
目に対する依存度を下げた。
対象物が近づくと、顔面から胸元にかけて圧を感じる。
自分の体感だと、胸で見ている、胸で捉えている感覚なんだけど
身体に感じる圧の変化で測るようにしたんだ。
パシッ
切っ先手先が当たるようになった。
パシッ
当てながら、私は思う。
あ〜、目?
あの子ね、悪い子じゃないんだけど
話盛る癖があんのよ〜。
半分割り引いて聞いといた方がいいよ。
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