乗り越える感覚
先輩が手ほどきをしてくださった。
下から、私の袋竹刀に乗ってきた先輩の袋竹刀
キャタピラーのついた、階段を登れる台車のように
私の袋竹刀を乗り越えていく。
私の袋竹刀は、落とされてしまった。
手の中に その時の感触が残っている。
乗り越えていく感覚
歌の練習をしていた時に、
歌にも、この乗り越える感覚が必要だと気がついた。
乗り越えるから、伸びやかな歌声になるんだ。
乗り越えないから、低空飛行の歌になる。
台詞も一緒だと思った。
台詞も乗り越える必要がある。
乗り越えるには、接点がいる。
接点の扱いに、多分コツがいる。
固いまま接点と激突すると、接点を突き放してしまう。
まだ接点との接し方はうまくいかない。
でも、うまく入り口をくぐれると、ブワッと広がるんだ、歌声が。
普通、中盤から失速するでしょう?
それが、中盤から伸びる感じになっていく。
あの時の、先輩の袋竹刀のように。