そう言っているだけ

私の謡(うたい)は なぜ 調子っぱずれで けったいなものになるのだろうか

謡の音程が取れなくて苦戦している。

西洋音楽のメロディラインだと、大体このあたりに
来るよね、というところに来ないから
すごく気持ち悪い。

でも、昨日気づいた。

謡は歌じゃないんだ。

「こうでこうでこうなりました」と言っているだけなんだ。

言葉が次々に、後の言葉にかかっていく。

「こうなりました」に 向かっていく「こうで」の
「で」には
「こうなりました」が生まれてくるよという予感が
含まれる。

やや音が上がる。

「こうで」って言いながら、
半分「こうなりました」って言いはじめている感じ。


日常生活で喋っている時は、誰もが巧みに このテクニックを駆使している。


だから、微妙に音が上がったり下がったりするんだ。
でも歌みたいな、極端な上げ下げにならないんだ。

ただ喋っているだけ
その喋りを、より くっきり はっきりさせているだけなんだ。


「一音一音で捉えると難しいんですよ」

「まとまりで覚えた方がいいですよ」


先生の言葉をヒントに、お稽古の録音を聞き直して
いたら

「謡は、ただ 日本語を喋っているだけなんだ」

そんな風に思えてきた。

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