張りつめた空気
ガチガチに固まっているのは、ダメなんだけど、
緊張感を携えた状態は、必要なんだ。
動けない緊張は、ダメなの。
動ける緊張は、いるの。
猫が、獲物に飛びかかる直前みたいな、
いつでも動き出せる、なにかが充満している状態は必要なんだ。
ガチガチに固まっているとさ、
「リラックスしなさい」とか
「力抜きなさい」って、言われるじゃない。
そこで、「休め」のリラックスに行ってしまうのが、間違いの元なんだと思う。
「休め」のリラックスは、
動くことを放棄した、気の抜けた方向へのリラックスだ。
「動く」ための、動ける方向への、リラックスがあるんだ。
先日の、アートマイムのレッスンで教えていただいた、鎖骨肩甲骨の扱い方は、その感触がわかりやすかった。
(詳細は、アートマイムの先生に聞いてください)
集団でいる時にさ、
(この人黙っているけど、何か言いたそうだぞ)
って、感じる時があるじゃない。
あるいは、自分が、何か言いかけている瞬間。
その瞬間、胸の中からお腹の中にかけてが、ふくらむの。
その膨張が、私の身体をどこかへ運んでいく。
このふくらみが、0になるとね、
私は、なにもやりたいことを持っていないんだ。
からっぽなの。
気の抜けたサイダー。
(なに? この人、なにかを持っている)
それが、興味をひきつける。
それがあると、目が離せなくなる。
逆に言うと、それがなくなったら、ダメなんだ。
舞台に必要な、張りつめた空気、
それは、なにかを携えた身体がつくるんだ。