お客さまは内臓だった。

「内臓が、一番遅くに動き始めるんだよ」

はは〜ん、私と一緒で鈍くさい子なんですね。

「遅い子を、置いていかない事が大切なんだよ」


体幹内操法の先生は、内臓を置き去りをしない方法を教えてくださった。
(詳細は先生にお尋ねください)


今日の上演、私は内臓を置いてけぼりにしないように人形を動かしていたんだ。

そしたら わかっちゃった
お客さんも内臓だって。

お客さんも置き去りにしちゃいけないんだって。


いや、別に今までだって、置き去りにしていいとは
思ってなかったんだよ。

でも、なんていうか
お客さんは自分の外にいて
外にいる お客さんを連れて行こうとしていたんだ。


内臓を待てるようになったらさ、
お客さんが、自分の内側にいるみたいな感触になったわけ。

お客さんを内包して動いていく

そんな感じになったんだ。


お客さんと私の呼吸
何かあったらすぐ崩れてしまう
そんな儚いバランスで 同調していた。

(ずっと この時間が続けばいいのにな)

そう 私は思ったんだ。

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