空っぽの箱
(私、空っぽの箱なんじゃないかな?)
刀禅のお稽古で竹尺持って歩いてたら、
不意に そんな気がしたの。
中心線に沿って歩いていたら、
(私、竹尺を握って歩いている人なんじゃなくて
竹尺を持った人みたいな形した 空っぽの箱なんじゃないかな?)
そんな気持ちになっちゃった。
竹尺を握って歩いている人だと、
竹尺と私の間に接目(つぎめ)があるんだ。
ギュッて握ろうとしたりするから、身体の中がムラになっているんだ。
竹尺ごと外側の輪郭で くりぬいた、
人が竹尺持っているみたいな形の空っぽの箱だとね
身体の中の圧が均等になる。
っていうか、中身空洞みたいな感じがする。
そうすると、竹尺と私の間の接目が消えるんだ。
シームレスになる。
竹尺の先っぽって、実は私の指先なんじゃないかな?
竹尺って、私の腕なんじゃないかな?
私の腕、実はものすごく長かったんじゃない?
竹尺が、私の肉体の一部みたいな感覚がした。
この竹尺と一緒だ。
人形の手の先端、
あれも、きっと私の指先なんだ。
そんな確信が生まれた瞬間だった。