運び屋だったの
傘の柄を手のひらの上にのせてバランスをとる。
人形を持つ時って、この感覚が良いんだと思っていた。
人形が動く時も、このまま動くのが良いんだと思っていた。
でも、これは「動かす」じゃなかったの。
私は、ただ人形を「運んで」いただけだった。
運び方の技術を高めていただけだった。
「運ぶ」と「動かす」は別物だって、体幹内操法の 先生が教えてくださった。
私、その時洞窟の中にいたんだ。
暗闇の中で、先生の説明を聞いていたら、
行き止まりだと思っていた目の前の岩壁が ガラガラ崩れて、ぽっかり穴があいた。
穴から光がさしこんで、遠くに見たことのない景色が見えた。
「運ぶ」と「動かす」は違うということと、
まだまだ先があるんだ、ということが わかった。
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