見出し画像

映画『人生の着替えかた』3部作 感想


 これは、別の舞台(新テニミュ2nd)で秋沢さんの演技をもっと観てみたい…!になって、ちょうど映画が上映されてたから衝動で観に行って来たよ〜〜!っていう人間の感想文です。


新ミュの感想はこっち↓ 


 どれも今回観るのが初めてだったので、どんな作品なんだろう……わくわく……の状態でした。

サイン会でしぬ


 上映前にご本人が来てくださってサイン会をする(!?)らしいので、ちょっと早めに向かうことに。
 なんか怖くてこういう対面イベを今まで全て避けてきたオタクなので、どっ、どうすれば…!?発汗!!になりながらもなんとか頑張った。
 口下手挙動不審オタクにもにこにこ〜さらさら〜✍️☺️って対応してくださいました。やさしい。心臓バクバクした。手の震えすごいことになってた。生きてる……

これは直後のサブ垢の私


 何喋ったかあんまり覚えてないけど、「あら〜そうなの? ありがと〜これからもよろしくね☺️」って言ってもらった、気がします。私は何を喋ったんだろう。
 目合わせてお話ししようと思ってたけど、緊張で目見られなくてずっと涙袋見ながら喋ってました。涙袋、大きかったな。





以下ネタバレです!
(基本的に作品は作品として楽しみたいので、俳優さんのお芝居というよりは映画の内容の話メインです)



『MISSING』


 これ1本目に持ってくるのすごいですね。3本観終わってみると確かにこの流れが一番良いなって思えるんですけど、それにしても1本目にこれを出す度胸とセンスは、、すごい、、

 守りたいものの守り方を間違え続けた兄が、さぁ〜〜、、なんかもうほんとに……不器用な兄弟だなあ、と思って……でも、そんなところが兄弟なんだよなあ、とも思いました。
 シャボン玉を吸い込まないように鼻と口を塞いだのも、もう弟に迷惑をかけないように自分が殺されにいって全てを終わらせようとしたのも、守り方が不器用すぎて、、

 刑事さんの「何で逃げちゃったのかなあ」に対して序盤の透は「捕まったら殺せないからでしょ」って言うけど、むしろ兄は自分が捕まったら弟に迷惑がかかるって思ったから逃げたんじゃないかなあ、って思った。
 でも踏切のところで再会したとき「お前の家行ってきた」って言ってて、多分そこで家のドアの張り紙を見て、逃げていても弟に迷惑をかけてるって気づいて。妻子を亡くして自分も苦しいし、自分のせいで弟も苦しめているし、だからもう終わらせようと思ったのかな。
 全ての苦しさから逃れるために自分が殺されて終わらせようとした兄と、兄に鼻と口を塞がれたとき苦しさから逃れるために自ら息を止めた弟。ほんとに兄弟だな〜〜、、って思った。どこまでも兄弟だな…………この辺の文脈すごく良いですね……

 彼らが逃げることを、物語自体が許してくれないのも良いですね。兄は死ねなかったし、花ちゃんもお腹の子ももう戻ってこないし、きっと兄が捕まったら捕まったで弟はまた何かしらの不利益は被るだろうし、それでも生きていかなきゃいけないし。
 最初の方、刑事さんには「さっさと終わってほしいんで」って言うけど、踏切で兄に「もう終わるから」って言われたときは「ふざけんなよ!終わんねぇから!」って怒鳴るの、なんか好きだったな。そうだよね、終わらないんだよね。線路は続くよどこまでも〜♪ じゃないけど。逃げたって何したって人生は地続きだし、誰か一人が死んでも、関わった人間の人生は続いていくし。終わらないんだよ、絶対。
 最後、逃げずに向き合って、手配写真を指差して誇らしげな(とも違う気もするしここの感情うまく言葉にできないんですけど)表情で「俺の兄ちゃんなんだよ」って言うの、なんかその辺の全てがそこに集約してる気がして、すごく良かったです、、

 観賞後にいろいろ考えているうちに、じわじわと余韻が来る作品だなあと思いました。



『ミスりんご』


 急に人が轢かれるからびっくりする。
 喜劇ならではの疾走感と急展開となるようになれ精神。治安の悪さとバカっぽさで「頭を空っぽにして見るやつだ!」と思いきや、思わぬハートフルな面もあったり、、

 ラーメン屋で喧嘩になって駐車場で殴り合って二人で倒れるところ、もうしょうもなさすぎてバカっぽくて最高!になっちゃった。こういう男同士のバカっぽくて真剣な友情、大好きです。
 雄介の「何だよ、性格悪いなあの子」、すごい好きだったな。観客含めて全員遠藤さんとお父さんの事情を察してるのに、一人だけ「えぇ〜…なんか怒鳴ってるよ、、怖〜…」って姿勢なの、なんかウケちゃった。こういう人間、一人いるだけで本当に何もかも面白くなっちゃうからずるいよなあ。

 最後お金返して終わるのかと思いきや、「大金入ったからハワイ行くべ‼️」でfin.なの、あ〜〜〜これこれ!!コメディに生きる人間はこうでなくっちゃ!!って思えて好きでした。男がどうの金がどうのって言ってた遠藤さんも一緒にノリノリでハワイに行くの、良かったな。この「終わりよければ全てよし❗️(俺たちさえよければあとは知らん‼️)」感がコメディ!!って感じで。
 そうやって見たとき、純くんだけがコメディに生きてなかったな。現実、というか違う世界からの刺客、みたいな立ち位置だった。住む世界が違うし、それを二人にちゃんと教えてくれたんだな。いや車に轢かれて車で轢いて生き方指南してくる人間、俯瞰で見たらそれはそれでコメディなんだけど。


『お茶をつぐ』


 個人的に3作の中で一番好きだったのは『お茶をつぐ』でした。
 障がいを持っている方の仕草とか、そういうの、すごく研究されたんだろうなあって思った。台詞のない、表情や仕草だけのお芝居だからこそ響くものがありました。
 冒頭の、雷太の視点に切り替わって音が遮断されるシーン。すごく好きでした。視覚的には見えている世界は同じはずなのに、こうも違って見えるのかと。
 その後の、お客さんとガラス越しに目が合って、笑顔でお客さんと話している父親の姿がフラッシュバックするところ。ラストで「嬉しそうなお客さんの顔が好きだったから」みたいに言ってるの聞いて、そういうことだったんだなあって思った。ああやって、窓越しにいつも見ていたんだろうな。合組してもらって、お茶を飲んで、嬉しそうにしてるお客さんの顔を。そうやっていつも外から眺めていたんだろうな。

 優しすぎるが故にうまく伝わらないままだった父親の気持ち……自分のせいで息子が障がいを持ったことが申し訳なくて、やれって言ったら嫌でもやってくれる優しい子だから、かけたい言葉もかけられなくて。そのまま亡くなってしまった父親。切ないな、とも思ったけど。でも、そんな息子が今まで逃げてきたことに向き合って、必死になってみて。もう遅すぎるかもしれないけど、それでもそんな父親の気持ちに気づけたのは、すごく尊いことだと思った。優しい親子だな。

 貞二……貞二な〜〜〜、、あからさまに嫌な奴出てきたな!って思ったけど、雷太に発破をかけるためでもあり、自分の恩人の息子なのに甘えて逃げてるのが腹立たしかったのもあり、あとそもそもの性格自体がちょっとキツめなのもあり、、みたいな感情の配分をもとにした立ち振る舞いだったのかな。
 本物のムツミを盗んで出したの、何でだろうな……雷太がやる気になった時点であの試飲会に意味はないし、貞二自身がそう言ってるし……試飲会に意味がないのなら、そして自分のお茶に自信があるのなら、自分のお茶を出しちゃっても良かったはずなんですけど。
 うーーん……雷太がやる気になったあとも、ずっと試してたのかな……? 本物の缶がなくなったり、試飲会で負けたり、そのくらいのことで「じゃあもういいや」って甘えて投げたりしないかどうか。勝負で負けて雷太が「もういいや」ってなってたら、貞二は本当のことを言わないまま本気で店を継ぐつもりだったのかな。だから本物を出して、絶対に雷太が負けるようにした、とか。もしくは、そもそもムツミを再現できるっていうのは雷太に発破をかけるための嘘だった、とか。もっと単純に、本物を出すことで試合を投げただけなのかな。でも貞二はプライド高そうだし、通常時の言動が嫌な奴な分、彼の茶師としての腕前や言葉にはできるだけ真実味があってほしいし、あれだけ発破かけたんだから勝負にはこだわっててほしいし。うーん、どうなんでしょうね。そこだけちょっと引っかかりました。
 恩人の店だからこそ本気で継ぎたい気持ちと、恩人の願いだからこそ息子に本気になって欲しい気持ち。どっちもあったんだろうな。
 亡き父親が貞二に託して、それを貞二が繋いで、雷太が受け取って。そうやって気持ちを繋いでいくところも「継ぐ」ってことなのかなあ、とも思いました。



3作品を通して・お芝居について


 舞台『悪因悪果』でも思ったんですけど、苦しみもがく姿がよく似合う、いろんなものを背負わせたくなる役者さんだな、と思いました。『悪因悪果』もめっちゃ良かったな…………今度ちゃんと感想書きたい……(DVDで観て……めっちゃ……良かったんです……生で観たかった……)
 好青年、みたいな役で終わらせちゃうのはもったいない役者さんだな。複雑な背景の役も、背負えるし表現できる方だと思ったので。そういう意味では、今回、短編にしてはどれも複雑な役柄だったのはすごく良かったなと思いました。いろんな引き出しを見せてもらいました。
 嫌なことから逃げて、すぐ卑屈になったり不安になったり、責められると自己防衛に走っちゃったり。今回の3部作、どれもテイストは違うけれど、主人公のそんな「現代の若者っぽさ」「逃げてきたことに向き合う姿」はなんとなく共通してるな〜、、って思ったりもしました。
 もっと背負わせたいな〜〜、、『ミスりんご』は相方がいるからこそのドタバタ逃走劇コメディだったけど、罪を犯して一人で逃げて路地裏で震えながら過呼吸になってるお芝居とか見てみたいです。これはただのオタクの願望です。

 てか秋沢さんの演じる種ヶ島先輩を先に知ったからアレなんですけど、3作品見る限り普段はあまり演じないタイプのキャラだった、のか……??
 めちゃくちゃハマり役だと思ってたから、役者さんってすごいな……って改めて思いました。

 あと、パンフにシナリオ載ってるのびっくりした! これは短編だからこそなのかな、、すごい……記憶と照らし合わせながら「ここのシーン変わってたな…」「このシーンの台本での指示これだけなんだ…」ってしみじみと読んじゃった。



おわりに


 3作品あるけど、どれももっと尺を長めにとれたらな〜、、あれもこれも、もっともっと丁寧に描写したかったんだろうな〜…!!っていう気持ちにちょっとなりました。短編が最適解、というより、短編の尺に収めるためにシーンを削ってその分行間で匂わせて、、っていろいろ工夫して短編に収めてる作品だな、と思ったので。
 短編には短編の良さがあるけど、もっと長い尺で見てみたいな…!って思った作品でした。

 あとタイトルの「かた」は漢字じゃなくてひらがななんですけど、予測変換で表記ブレして、Twitterのハッシュタグが「かた」と「方」でファンの間で二分しちゃってるの、もったいない、、泣 
秋沢さんご本人が「ハッシュタグで呟いて口コミとか広めてもらえたら〜!」っておっしゃってて、それでみんな積極的にハッシュタグ使ってくれてるから、、もったいないよ〜〜、、泣泣

 YouTubeに制作側のトーク動画があるらしい…? ので、その辺の動画を観てからもう一回映画を観に行きたいな。
 私はそもそもめちゃくちゃ腰重いし、周りに人がいると集中できないしじっとしてるのも苦手だから、映画館ってちょっと苦手意識があったりなかったり……
 でも今回、「映画やってるんだ!えー!もっとお芝居見てみたいな!明日行ける?行くか!!」って前日に急にアクティブになって動けたの、なんか気持ち良かったし、行けてよかったです。これからもこんな感じでいけたらいいな。
 あと、こうやって観たものの感想を残すのも、出来るだけ続けていけたらいいなと思いました。

 観に行けてよかったです。ありがとうございました。
 『人生の着替えかた』、アップリンク吉祥寺にて4/7まで上映中です。ぜひ!





 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?