六厘舎 特製つけめん 【グルメレポ】
東京駅のラーメンストリートにある「六厘舎」へ、つい先日行ってきた。
言わずと知れたつけ麺の名店だ。
僕が初めて「六厘舎」のつけ麺を食べたのは大学生の時だ。
上京の準備と職場見学を兼ねて東京へ行き、帰りの羽田空港行きのバスの時間を待っている間、(当時は巨大迷路のように思えて、何もかも全てが新鮮に見えた)フードエリアを探索している時にとてつもない行列を発見した。
当時の僕は基本的に行列に並ぶというのは、あまり好きではなかった。
しかし、その時はバスまで時間があるという理由と、東京というまだ得体の知れない街の中で見つけた異様な光景に、無意識に惹かれて並んでいたんだと思う。
僕は北海道出身で、ラーメンは基本的には味噌ラーメンが好きだった。
つけ麺はまだ今ほど流行しておらず、北海道ではほとんど食べたことがなかった。
つまり、「六厘舎」は僕の「つけ麺童貞」を奪った存在なのだ。
僕は、その時に食べたつけ麺の味に感動した。
その時の感動が忘れられず、上京してからも暫くはラーメン屋に入ったら、つけ麺を注文することが多くなっていた。
それから6〜7年経った今の僕は、「ラーメン二郎」にハマっている。
そう、つまり「六厘舎」は元カノ、「ラーメン二郎」は今カノと言った存在だ。
そんな元カノ的存在である「六厘舎」のつけ麺を、久しぶりに食べた感想を書き残しておこうと思う。
整った麺と、行儀よくレンゲに乗っているゆで卵が相変わらず綺麗だ。
スープの中に入っている具それぞれも、互いを尊重し合い共存している。
今カノ(ラーメン二郎)とは大違いだ。
少し食べ進めて感じたのは、麺の喉越し感が以前よりも強調されているということだった。
スープも記憶にあったよりもクリーミーに感じた。
もしかしたら僕が「ラーメン二郎」の味付けに慣れてしまったからかも知れないなと思いつつ、元カノの前で今カノと比較している自分に少し嫌悪感を抱いていた。
そもそも「ラーメン二郎」は「ラーメン二郎」という食べ物であって「ラーメン」とは別の食べ物。
ましてや目の前にあるのは「つけ麺」だ。
元々、全て似て非なる存在なのだ。
それなのに、僕らはなんでこんなにも比べたがるんだろう、と少しセンチな気持ちになっているところで麺を全て食べ尽くした。
通常のラーメンならここで、スープを残すべきか、飲み干すべきかという究極の選択を強いられるが、つけ麺にはその必要がない。(あ、また比較しちゃった…)
何故ならつけ麺にはスープ割りがあるからだ。
飲み干さない理由がない。
本当に綺麗だなあ。
清楚さの中にもパンチのあるこの味が、今でも大好きです。
本当にありがとう。
不思議なもので、当時はなかなか言えなかった言葉が、この時は自然と言えた。
あの時も、もっと自分に正直になっていれば…。
そんな風に考えて落ち込むほど、もう僕たちは若くない。
最後にもう一枚だけ写真を取ろうかと思ったけど、やめておいた。
そうすることで、もう今までのような感情で「六厘舎」を食べに来ることは出来ないかもしれないけど、またいつでも来ていいような気がした。
「ご馳走様です。ありがとうございました。」
店員さんへの礼儀と、僕らの思い出に対する感謝の意を込めて、僕は少しだけゆっくりとそう言った。
そうして僕は、のれんを掻き分けて「六厘舎」に背中を向けた。
振り返ることなく、僕は僕が帰るべき場所に向かって歩き出した。
店名:六厘舎
食べたつけ麺:特製つけめん
値段:1080円
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街B1F 東京ラーメンストリート内(東京駅構内)
営業時間:
7:30~9:45(ラストオーダー 9:30)
10:00~23:00(ラストオーダー 22:30)
店舗URL: http://www.rokurinsha.com/