むかしむかし
マスクを求めてドラッグストアに大行列ができては、手作りマスクが大流行。おうち時間っていう言葉、前からあったみたいに定着して、みんなオンライン飲み会やお菓子作りとかしながらストレスをどうにか減らしてた。
むかしむかしの話になるといい。早く笑い話になりますように。嘘みたいだねと言いたいけれど、いまからするとマスクもせずにライブハウスにぎゅうぎゅうになれていた頃のほうが嘘みたいで涙が出そう。生ビールをヘラヘラ笑いながらみんなと飲むことも叶わないなんてね。
こんなことが起こってしまって、まだど真ん中。先の事は誰にもわかりやしないけど、大丈夫だよと誰かからの救いが欲しい。
もうなんにもなかったことにはできないみたい。たくさんの人が亡くなり、会社もお店も潰れて、わたしたちが大事にしてきたものはみんな、仕事でさえも不要不急と呼ばれてしまう。
映画を見てても、不意にソーシャルディスタンス気にしちゃう。コロナがなかった頃の距離感で人とはもういれそうにない。
人混みですこしだけ息を止めて早歩きしたり、買ってきたものに消毒液ふりかけたり、マスクの鼻のところしっかり押さえてみたりとか、ほんとは全然したくない。
幸せのハードルがどんどん下がっていくのがわかる。生活を見つめ直す。友達との画面越しでの乾杯が一番の楽しみ。可愛い服も新しいリップも、誰にも見てもらえない。スケジュール帳には叶うかわからないずいぶん先の予定がいくつかだけ。これ以上二重線は引きたくないな。
恋がしたいデートがしたい思いっきり息を吸いたいみんなと手を繋ぎたいハグとかもしたいカラオケにだって行きたいしライブハウスでもまれたいいっぱい並んだ中からパン買いたい図書館にこもるのもいいな可愛いメイクで歩きたい
いろんな願望はぜんぶ、ちょっと前までは当たり前の日常だった、
あんなにきれいだった帰り道の桜の花、半分ぐらい緑になってしまってた。さみしいけどちゃんと時間は進んでいる。毎日毎日おんなじ繰り返しにつぶされないように、はやくはやく暗い日々が明けますように。
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