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KAN/よければ一緒に (2010)

レビューブログと称していろんな曲の感想を書き散らかしてるわけですが。
基本的に新しい曲中心なんだけど、試験的に週末は過去作品を書いていこうかな、と。
第一弾としてはやはりKANさん。
実は2010年頃は書いていたブログの移行期で、この時期に書いたものは既に消えていてどこにも記録が残っていない。
(2008年より前と、2012年以降は残ってる)

2010年2月にシングルとして発売されたものは途中でフェードアウトしてる(それでも6分52秒)。
2010年3月に発売されたアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」ではfull sizeとして収録。実に8分03秒。
KANさんの曲の中でもトップクラスの曲の長さなんだけど、その長さを感じさせない。

こちらはPV
演出として一発録りなので、CDのオケとは多少異なる

この曲は、「~よければ一緒に そのほうが楽しい」
に繋がる一節を1ブロックとして、それが何回も繰り返す形式。
たまに大サビのようなメロディーが挟まったり、後半で転調して半音上がったりするけど基本的には同じメロディーを元にして、アレンジを変えつつどんどんと展開していく。

この「1つの主題を軸にして展開していく」という形式、考えてみるとクラシックの作り方と似ている。
KANさんは2002年から2004年にかけてフランスに移住して、クラシックピアノを基礎から練習しなおしてる。
その結果、「クラシック曲の作り方でJ-POPを作る」と言う、なかなか無いことを実現してしまった。

2008年~2009年にかけては真野恵里菜さんへの楽曲提供がトータル9曲(1曲は作詞作曲、残りは作曲のみ)。
ここでは、決められた音域の中でキャッチーなメロディーを作る、と言うことを気にしていたとラジオなどで話していて。
その辺りのテクニックも含めて集大成になったのが、この「よければ一緒に」なんじゃないのかな、と思ってる。

歌詞

歌詞についてはいろんな人(RAG FAIR土屋さんとか)が語ってるので、ここであまり語る部分はないけど。
「よければ一緒に そのほうが楽しい」
と言う言葉がすべて。

1つだけ好きなところを挙げると。
歌い出しの歌詞は

ぼくがひとりでできることなんてなにもない
君とふたりでできることならいくつかある

これが、歌が進んでいって後半になると、

ぼくがひとりでできることなんてなにもない
君とふたりでできることならいくつもある

1文字しか違わないのに、もの凄く印象が違う。
そのまま最後の「歌詞がなければラララララララで歌えばいい」に流れていく。
素晴らしい。

全体

KANさんは洋楽を意識した曲が多くて、「Aメロ」「Bメロ」「サビ」という構成を取ってる曲は少ない。
Bメロが無い曲が多かったり、「愛は勝つ」はそもそも曲構成が良く分からない(だからJ-POPで他のアーティストから「愛は勝つのような曲」が出てこない)
そんなKANさんの楽曲の中でもひときわ特殊な曲、のはずなんだけど、それを特別なことをやってる感を出さずにJ-POPとして作り上げてしまう。
そして、この曲を解析しようとしたり、演奏しようとしたときにこの曲の特殊さ、凄さに初めて気がつく。

長々と書いておいてなんだけど、小難しいことは考えずに曲を聞いてるのが一番です。
よければ一緒に そのほうが楽しい


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