27 「年末に」

 年末は実家で過ごしました。
ちょっと早いですが、おばあちゃんの百歳を親戚総出で祝いました。
その会で、60センチはあろうかというお祝いケーキが卓上真ん中に出されました。おばあちゃんの一番末娘、私から見ればおばさんが買ってきました。

 おばさんは、パキパキ・ハッキリとした人で、弱音を吐いたり愚痴を言っていたりするおばあちゃんに「あんたが甘えてるからだ!もっとちゃんとしな!」みたいによく叱っています。体が辛いのは本人だからそんなに言わなくてもなぁと思うくらいキツイ口調で。

「私の顔を見たって、名前もすぐに出てこないんだよ!!」
そうぼやきながらも、それでも頻繁に顔を見に来ます。
わざわざケーキ屋に出向いて特注のケーキを準備します。

「今年はどうなるか分からないから集合写真を撮ろう」
「今の状態で今度入院したら、一応会社に休みをもらっておかないと」
そんな冷静な言葉を常に兄弟に言いながらも、写真を撮って引き伸ばしてみんなに配り、電話をして体調を聞いてきたりします。

「ほんとにこんなになって、情けないよ!!」
「娘の顔や孫の顔くらい、ちゃんと覚えときなさい!!」

 ・・・・。でもたぶん。もしおばあちゃんに、もしものことがあった時には、もちろん誰もが悲しむけれど、おばさんが一番泣くんだろうなぁと感じます。布団の脇で悪態をつきながら、泣くんだろうな、と。

 一番おばあちゃんの側にいたくて、一番かまってほしくて、大好きなお母さんが弱くなってしまうのが切なくて、もっともっと元気に長生きしてほしくて、またおばあちゃんの顔を見に来ては叱りとばして帰るんだろうな、と孫ではなく親子としての愛情をたくさん感じさせてくれる人です。

(2009.1.19の記事転載)


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