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ドゥルガー女神系秋祭りに参加してみた(ガルバーダンス編)
参加するまでのこと。
インド人のお友達から、10月12日の夜、ドゥルガープージャーとガルバーダンスのイベントがあり、参加には予約が必要なので一緒に手続きしましょうかというお誘いが来ました。
ガルバーダンスと聞いて私が知っていたのは、
年に数回あるナヴラートリーの中で、日本の10月頃行われる秋のナヴラートリーに開催される
特にインド西部のグジャラート地方で踊られるフォークダンスっぽいものである
踊る時にはダンディヤーという棒を持つ
ということぐらいでした。
またイベントにお誘いいただいた際、タイミングよく主催グループの女性のひとりにお会いできたので、神様系狙いの私は「ダンスの前にプージャーはしますか?」と訊きました。
「しますよ!ベンガルでいうドゥルガー女神と同じ……ええっと……」と失念していらっしゃる様子だったので「アンべー・マー(アンバー女神、アンべー女神)ですか?」と問うと、「そうそう!アンべー・マー!よく知ってますね」ということだったので、「よっしゃプージャー見るぞ!」という決意を胸に会費(880円)を支払い、予約申し込みをしてもらいました。その際、インスタのアカウントで繋がらせてもらいました。
そしてインスタを覗くと……
なんと毎週ガルバーダンスのワークショップをされている方だということがわかりました!
インスタのストーリーや投稿でしだいに上達してゆくワークショップ参加者の様子を拝見して、運動音痴かつ参加する時間の無い私は「やばい…このままでは上達してゆくハイレベルなダンスに全くついていけないぞ」と日々危機感を募らせていました。
そして当日がやってきた。
10月12日18時、会場の江東区東大島文化センターへ。会場が何階なのか調べるのを忘れてあたふたしていると、とても煌びやかな民族服、レヘンガーを着た女性が建物の入り口からちょうどやって来ました。彼女は私のあたふた顔を見て「ダンディヤーナイト?」と尋ねてくださり、会場階まで一緒に連れて行ってくださいました。
会場階に到着すると、参加者はお年寄りから小さな子供までおり、思い思いの晴れ着で着飾っていて、お祭り気分が盛り上がります。フォトスペースも会場の入り口横に設えられていて、みなそこで写真を撮っていました。
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後ろに掛かっている飾りの布はグジャラートらしい絞り染めの柄。
そしてガルバーダンス会場の中へ。土足禁止のため、靴を脱いで入ります。
ダンス会場では、スクリーンのある壁を正面にして、右の隅で簡易祭壇が設えられているところでした。祭壇上にはアンバー女神の絵が祀られています。灯明はここでもやはり消防法の関係上全てLED。祭壇が出来上がると入室した一人一人にLEDロウソク(?)が手渡されました。
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そして左にはパッケージに入ったスナックを売る簡易売店と、前の演説台にはなんとDJブースが!
どうやら今日のDJ兼歌手さんはKeyur Bhattさんとおっしゃる、とても精力的に活動していらっしゃる方で、このシーズンは東京数カ所だけでなく甲府にもガルバーソングをDJ &歌いに行かれたようです。
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「生DJ生歌のダンディヤーナイト」がこのイベントの売りでした。
準備が終わり、参加者も大方集まったようで、18時20分ぐらいからアールティー(灯火を盆に乗せ、アールティーという種類の御詠歌を歌いながらその盆を神像の前で掲げるプージャーの一種)が始まりました。皆、手のひらにLEDロウソクを乗せ、祭壇の前に集まって「Jay ambe gauri 〜」と歌い始めます。
おっ?知っている歌です。有名なヒンディー語の御詠歌でした。ガルバー自体はグジャラート地方の風習ですが、色々な地方(主にインド北部、西部)からの人が集まる場合ヒンディー語が選ばれるのかなと思いました。
一緒に御詠歌を歌った後は、バラモン役の方がお経を唱える中、1人ずつ女神様の前にあるお盆を手にして、その手を神様の前で時計回りに上下させて祈りました。お花のお供えは無く、シンプルなプージャーはこれにて終了、LEDロウソクも回収されました。
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そして祭壇横にお供えしてあった缶が開かれ、四角のお菓子(お名前聞いたのですが不覚にも聞き取れなかったのです)とまだ温かいハルワーが参加者にプラサード(お下がり)として配られました。素手の上にポンと配られたのは初めてで、一瞬びっくりしましたが、そう言えば現地のプージャーでは聖水などはこうやって素手の上に注がれていたわ、と思い出しました。
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子供か友達の為に両手を使う人もいれば、左手の上に右手を重ねてもらう人もいるようだ。
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これでダンス前のエネルギー補給はバッチリ?
さあ、ダンスの時間だ。
プージャーが終われば、次はみなさんお待ちかねのダンスです。
友達とも合流しプージャーを見ることができたよと話をしていると、DJのBhattさんがミュージックをかけ、女性の司会がみんな輪になって〜とヒンディーと英語で呼びかけました。会場に大きな二重の輪が出来ます。ダンスワークショップで慣らした上手な方々が輪の内側で、外側にも勿論上手な方もいるのだけど、大体それなりの皆さん(と、私たち)。これはどこかで見た光景……そう、盆踊り!
私の前に居たインド人女性は手拍子しながら肩を竦めて「I'm not good at… I don't know…」と苦笑していました。
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そこから先はそれこそ、ひたすらダンス!ダンス!ダンス!でした。
小一時間踊ったでしょうか。その間何度か休憩もしました。けれど汗もかき、老体にはもうそろそろ限界……となった頃、音楽が止まりました。
「これからがダンディヤーナイト!さあ、みなさんダンディヤー(棒)を持ってくださいー!持っていない人は前にあります」
そういう意味のことを言っていたと思います。
えっ……今からが本番?
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自前のキラキラしたダンディヤーを持っている人はそれを手に、そして私たちは前に置かれたバッグの中のダンディヤーを借りて、再び二重の輪になりました。内と外とで向かい合い、ゆっくりと逆回転しながらその場でも回転し、短いフレーズで相手と棒を打ち合って次の人とそれを繰り返す……まさに小学校の時やったフォークダンスでした!
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ステップを覚えるのに必死で、どれぐらい踊ったのかわかりません。
気がつくとかなり汗をかいていました。
そして私の門限が近づきつつありました。
最後に女神様にもう一度何かするのか訊くのも忘れて私は会場を離れました。
最後に。
本当に日本の盆踊りに近い行事なんだなと感じました。
その根底には女神様への感謝と祈りが息づいているとも思いましたが、何よりエネルギッシュに踊り明かそうぜ!的なバイブスを感じ、このエネルギーはどこから来るの……そうかドゥルガー女神を踊りで喜ばせる為なのか!と気づいた次第です(本当かどうかはわかりません)。
翌日全身がほんのり痛くなりましたが、久しぶりに踊って楽しかったです。
そして開始時のプージャーは本当に妥協できるギリギリのラインではないかと思われるものでした。インド人の中の、「これをしておけば一応神様をお祀りしたことになるだろう」という基準を見た気がし、これもまた、現代インド人の素直で貴重な実態であると思いました。