電気から見る生理学 〜1. 人間もピカチュウ?〜
今回からしばらく、「電気から見る生理学」というタイトルで連載をしたいと思います(週1ペースくらい)。バイオ・生命科学など理系の話題が好きな方、どうぞ楽しんでください。だんだんと話が難しくなるかも知れませんが、できる限りかみ砕いて、研究者以外の方にもわかりやすく進めていきます。
今回はイントロです。
目次
1. 生理学とは
2. 電気とは
3. ヒトにも電気が流れている
1. 生理学とは
まず、生理学とは何でしょうか?
物理学を「物の理(ことわり)を理解する学問」とするならば、
生理学は「生(いきもの)の理を理解する学問」と言えるでしょう。
Wikipediaによると「生命現象を機能の側面から研究する学」ともあります。
つまり具体的に言えば、
「どうして目は見えるのか?」
「どうして耳は聞こえるのか?」
「どうして痛みを感じるのか?」
という素朴な疑問に挑む学問を指します。
医学的で基礎的な学問といえるでしょう。
2. 電気とは
電気について、皆さんこんな式を覚えているでしょうか?
電圧 = 電流 × 抵抗
小学校?中学校?で習う、「オームの法則」ですね。
小・中学の理科や高校の物理で習う電気とは、
すべて「電子」が動くことによって発生しますが、
本来電気とは「電気を帯びた(= 電荷を持つ)物質(イオン等)が動くことによって生じる物理現象」の総称です。
なので、「電子」ではない「電荷を持つ物質」が動いても、
そこに電圧が生じ、電流が生じ、「電気」はおこります。
これからのお話での電気とは、
「何らかの電荷を持つ物質が動いた結果、電流や電圧が生じる」
という現象を指し示しています。
なぜなら、生物の電気の多くは、
電子由来ではないのです!
3. ヒトにも電気が流れている
これからのお話でのメイントピックです。
ヒト(動物)にも電気が流れている。
みなさん、どれくらいのレベルを想像しますでしょうか?
さすがにピカチュウのように放電はできませんが(笑)、
ロボットと比べるとあながちかけ離れているわけではないように感じます。
手や足の先まで、隈なく「電線」が走っている
脳の中には「回路」がぎっしりと組み込まれている
活動するためのエネルギーを、「電圧」を使って生み出す
少しあいまいな表現も含んではいますが、
おおよそヒトの体の中ではこんなことが起こっています。
それがどのような仕組みなのか、知ることが「生理学」であり、
これらをまとめるキーワードこそが「電気」なのです。
というわけで、次回から少しずつ具体的なことを紹介していきたいと思います!お楽しみに!
お心をもしも戴くことができましたら、励みになります。