
1mmだけ前に進めた日
2025年2月15日から時が止まって、早数日。亡霊というより呪縛霊という字面が正しいくらい、本多大夢という人物に縛られて生きている。
小学生で某事務所のオタクとなり、20年弱。気恥ずかしくて一度も担当という言葉は使わず、俳優や音楽界、2.5次元など幅広いジャンルに手を出しては、『推し』活に勤しんできた。
タイプロを見始めたきっかけというきっかけは特になく、たまたま金曜日にNetflixを開いたら1話が配信されていただけ。
とはいえ、事務所オタクなのでもちろんtimeleszのことは知っているし、SexyZone時代の好きな曲もたくさんある。グループの中でも末っ子のぽわぽわっ子を推しがちな私は例に漏れず聡ちゃんが好きで、急に大人っぽくなったよな〜なんて金髪の聡ちゃんが見たかった気持ちも少なくはない。
候補生のことを軽い気持ちで、この子いいな〜。この子は事務所っぽくはないよな〜。え、てかこの候補生たちみんな聡ちゃんより年下?!と勝手気ままな感想を持ちながら見ていた。
特に推しがいるわけでもないのに、ショートは全員分チェックする暇人っぷり。しかしそこで、まんまと大きな傷跡を残されるのであった。
「傷跡を残します!あっ爪痕ですね」のあざとさなのか天然なのかわからないくらいの冷静なボケと訂正。わずかに放送された歌唱シーンでは【歌うまK-pop系美人】だった彼がストンッと綺麗に心の中に落ちてきた瞬間。
話は逸れるが、私は少年倶楽部という番組が大好きだった。推しのジュニアが先輩の名曲を披露する姿や、デビュー組がふらっと遊びにきては、地上波ではやらないアルバム曲なんかをさらっと披露して帰るあの特別な夢のような空間。
その中でもSexyZoneが披露した「フィルター越しに見た空の青」と「名脇役」は、それまでトンチキソングのイメージが強かったセクゾがこんないい曲持ってたんだ!!!と衝撃が走った回だった。
話はタイプロに戻り、3次審査。このあたりからネトフリとYouTubeをこれでもかというくらい行ったり来たりを繰り返していたので時系列に自信がない。
まず強烈に記憶にあるのが、Greenチームの後ろで聞こえる美声。オタク特有の一時停止とコマ送りでGreenとYellowのパート関係を把握していたので、瞬時に「傷跡の子だ」と気づく。練習室に響く声が明らかにレベチ。
からのショート動画(一問一答)。勝手にタイムレースを開催する候補生を微笑ましく眺める。少しあわあわした大夢くんが答える『フィルター越しに見た空の青』。この時の着用ニットもすごく好きで、これ、私服かな〜私服だったらこの人好きすぎるなと「あぁ、これはダメなやつだ…」と悟る。(のちに私服とわかり悶えることになる)
元々オーディション番組を見ないのは、推しが落ちてしまったときのショックが容易に想像できるからで、タイプロに関してもできるだけ推しはつくりたくなかったが、完全に大夢くんだけを目で追い始めていた。
悲しきかな、事務所オタクだからこそ感じてしまう大夢くんの「事務所っぽくなさ」(後々、大きく裏切られたが)
この時の私はまだ自己防衛に必死で「大夢くんはきっとどこかで落ちてしまうだろう。だから目に焼き付けておこう。」と言い聞かせつつも、心のどこかでステージ上でメンバーと一緒にフィル青を歌う大夢くんを想像せずにはいられなかった。
審査が進むにつれて素の一面が映るようになったけど、本編でもbehindでも変わらず柔らかい雰囲気を纏い、ユーモアはあるけど、決して人に対する配慮や優しさは忘れず、丁寧に言葉を紡ぐ大夢くんの姿が大好きだった。初めはK-popよりだと心配していた雰囲気がどんどん洗練され、大夢くん自身が持つ本来の美しさにどんどん飲み込まれた。
迎えた最終審査。RtPを披露する大夢くんは、誰が何と言おうとアイドルで。初めのアクティングも勝利くん聡ちゃんとの3ショットだって、負けず劣らず「この事務所の」アイドルだった。巷で大人気のスーパー大夢タイム。間違いなくタイプロの名シーンとなった猪俣くんへのハグ。堂々とした大夢くんの熱く伸びやかな歌声は、迷っていても、落ち込んでいても、逆に元気なときもどんなときも心に寄り添いたいと言っていた大夢くんらしいパフォーマンスだと思った。
この最終パフォーマンス。私にとっては間違いなく大夢くんが一番輝いて見えた。もちろん他の意見もあるだろうけど、それでいいのだと思う。『推し』の存在ってそう言うものだと思うから。誰かの推しと競うためのものじゃなく、自分の中でそっと愛でて大切にして、一番光って見えて、どんな時も幸せをくれる。どんな姿も全肯定で応援したくなるそんな存在。
新メンバー発表後のどこかやりきったすっきりとした顔。悔しくて泣きたいのを我慢したのか、それとも本当にすっきりしていたのか、心の中は本人にしかわからないけど、私自身もまたどこかすっきりした気持ちだったのは事実で。それは多分この最終審査の大夢くんを見て、これまでの審査と比べ物にならないくらいの輝きとパフォーマンスを受け取って、彼の未来は絶対的に明るいと確信したからだと思う。
とはいえ、長い夢から覚め、定期的に大夢くんを見られないという現実、いつ大夢くんの歌を聞くことができるのかもわからない現実に心に穴が空いてしまったのもまた事実。でも大夢くんの紡いだ「もう少しだけ音楽を頑張る」という言葉を信じるしかない。私が願ってやまなかったメンバーと一緒にフィル青を歌う大夢くんは見れなかったけど、今は彼が想いをこめて歌ったフィル青を大切にして、前に進みたいと思った。
君がフォルダの中でずっと笑っているから
今日も1mmだけ前に進めたんだ
「ありがとう」って言葉だけじゃ足りなくて
溢れた想いごと君抱きしめた
ずっとドラマ以上の名場面がここにあって
2人しか知らない景色があった
見慣れた街がいつも微笑んで
奇跡という出会いをくれた
大夢くんにとっては、タイプロで出会い、共に時間を過ごしてきた人たちを思う歌かもしれないけど、私にとってはこの2サビがタイプロを通して知った大夢くんへの感謝の気持ちそのままだ。
柔らかな雰囲気に反してハグはいつも包み込む側な大夢くんが大好きだった。フィルムに残せない温もりも、ドラマ以上の名場面も、きっとたくさんあったはず。候補生たちだけが知っていて、周りが知り得ないからこその美しい時間があったと思う。
今の私は、大夢くんの摂取がないと生きていけない状態なので、behindやショート動画で楽しそうに日々を過ごしていた大夢くんを見ながら何とか前に進んでいる。大夢くんもファンの声を応援に変えつつそして適度に受け流しつつ、マイペースに生きてほしい。できれば表舞台にいて発信してくれると、私みたいな地方者が喜ぶけどそれも大夢くんの自由だ。
そして、いつか時が経ったら候補生たちで思い出話に花をさかせてほしい。私もいつか猪俣くんに聞いてみたい。あの時、抱きしめられたときどうだった?と。