データをちゃんと読むということ、神学にも必要な観点
本当に日本で自然災害の発生が増えているのだろうか?
国土交通省のデータを見てみた。ちなみにこれは、国土交通省の白書に載っているデータであり、政策に結びつけることを意図しているデータである。
以下、2つ貼り付ける。
1 一日200ml以上の降水量の年間日数 1900年から2020年
2 土砂災害の発生年数 1900年から2020年
この2つのグラフで、国土交通省は、雨の量が増え、そして土砂災害が増えている、と説明をしている。
本当だろうか?
1のグラフで、国土交通省は傾向線をひいている。そうすると、確かに増えているように見える。ただ、これを1900年からではなく1920年からの丁度100年間にしてみたらどうだろうか?
実は横ばいである。
また、2のグラフで過去30年を見て、この10年間は発生件数大幅に増えたと言っている。ただ、直近の2018年を除くと、実はその前20年間と、直近10年間は殆ど変わらない(微妙に増えている)。
1は、長期の傾向線を引くと、説得力があるように見えるが、実はどの期間を取るかで、いかようにでも解釈できてしまう、ということを示している。
2は、単に平均を出すのではなく、特に大きな乖離を示している数字に関しては、特異点ではないかと疑う、そそてその背景に何があったのかを考えないといけない、という事を示している。
また、この1と2を国土交通省は並べて説明をしている。ただ、そうするのであれば、同じ期間で並べなければならないし、片方は傾向線、片方は期間平均ということをしてはいけない。
結果として、このグラフ達からは示唆を読んではいけないものになっている。
もし、示唆を読むとしたら、巨大災害(2018年)に対するほどの社会インフラは、まだ整いきれていない、ということが一つ。
経年変化で衰え、災害増に繋がるはずの社会インフラを、実は効率よく維持できている、ということが二つ目ではないだろうか。
二つ目は、国土交通省の予算増という目標には反する示唆かもしれないが。
恐らく、このグラフを作った人は、わかってやってるね。一見して誰も受け入れてしまうような出し方で、自分の目標に合致するようにデータを工夫しちゃう(嘘はつかずに)。
ここで、一つ、私が、自分のことに関して思っていること。
今、私は自分の神学における研究を、どのように進めるかを模索し始めている。その中でも宣教学、という分野に絞り込まれていく。
宣教学という分野は、社会そして教会に関する数字と離れてはいけないと私は思う。だけど少なくとも日本の宣教学の分野での論文(数は非常に少ない)で、まだ、数字を適切に扱ったものを見たことが無い。
数字と言えば理系、じゃないはずである。厳密な統計処理でも無く、難解な数式でもない。
数字の背景にあるもの、そのインパクトを考える、ということのはずである。そして、それは極めて「文系的」な考察だと思う。
そのためには、少なくとも対数、比率、偏差、分布、ということぐらいは理解していないといけないが。
私は、ちゃんと数字を扱っていこうと思う。
ちなみに、私は正真正銘の文系です。理系学部で学んだことはありません。