シンクタンク・公共神学 設立趣意書
1549年に日本にキリスト教が伝来した。もう500年弱が経過している。また、明治維新のかなり前からキリスト教は再度、日本に来た。その2回目から数えても150年以上が経過している。
そして、この間、多くの宣教師が日本に身を投じた。使命に燃える教職者たちが尊い働きをし、多くの信徒が恵みに預かってきた。
しかし、今の日本において、キリスト教徒の数は、人口の1%程度である。キリスト教は私事化されたままであり、公共的になりえていない。
もちろん、重要なのは数ではない。教会の人数を誇るのは、神の意志ではないと考える。
ただ、日本において聖書のメッセージと世界観は社会に対して十分に伝わっているだろうか?
日本において、教会は、社会と遊離せずに、閉じこもらずに活動できているだろうか?その共同体の扉は隣人に対して開かれているだろうか?
日本において、一人一人の信徒は、日常生活の中で、イエス・キリストを証し出来ているだろうか?
日本において、教会共同体は、そのあり方を刷新せねばならない。何かの爆発を望むのではなく、イエス・キリストの愛を証ししていきながら、教会共同体を基盤として、着実に、継続をして、神の国を宣べ伝えていかねばならない。
日本において、この状況を生むために、我々は以下のテーマへの回答を提示すべくシンクタンクとして活動を始めたい。
1) キリスト教を含む日本の社会を捉え、神学の必要性を論じるところから始め
2) 教会共同体を定義しなおして、今後の変化の方向性を提示し
3) 神の国の福音を宣べ伝えていく具体的な宣教戦略を構築していく。それが人びとの幸福と公共の福祉に資する道だと信じるからである。
従って、公共神学、教会論、宣教学という分野の日本の文脈に合った展開が我々の活動目的である。
そして、我々は、実際に今の日本の現状を踏まえて行動していくために
1) 研究活動、出版活動を積極的に行うが、それのみにとどまらず
2) 新しい開拓グループへの資金面、実践面での支援、インキュベーションを行い
3) 様々なグループへの継続的な相互の学びあい、情報提供の支援をも含む
活動を順次に展開をしていく。
神の恵みに預かり、神の国の一員となった、その喜びを伝えたいという、あの歓喜を胸に抱いて
東京基督教大学 名誉教授 稲垣久和
東京基督教大学 大学院 水山裕文