【特集1月号】2022年の抱負
百貨店のコスメ売場が好きだ。正しくは、そこで接客している美容部員(BA)の人々を見るのが好きだ。
BAはとても洗練されている。綺麗にまとめた髪に、手入れの行き届いた肌、カールされた睫毛に、控えめに輝くネイル。彼女達の信念はおそらくただひとつ、美容に飢えた客を満足させることだ。
化学的な香りがほのかに香る売場が、ハイブランドの看板と共に輝いている。
一寸の隙も与えないその空気に佇んでいると、自然に背筋が伸びる。頑張ろうと思える。
目的と目標の違いを考える。仕事に忙殺され、ノルマや数字に追われていると、この二つを取り違えてしまいそうになる。
そして、私は目標を立てる事がとても苦手だ。視覚化されたそれらに首を絞められそうになるからだ。目標と理想は、少し似ている。行き過ぎた理想は、いつか現実を食いつぶしてしまいそうで、私はそれがとても怖い。
それでもいい歳をした会社人がそう甘えた事を言っていられるわけがなく、私は一冊のノートを作った。
1ページ目には目的を記入、その次からは左ページには箇条書きで日々の出来事を書き、右ページにはそれらに対する考察や提案事項を書く事に決めた。
どこまでできるか分からない。しかし、目標は目的とは違う。
例えばBAの目的は客が自社製品を利用する事で満足する事であり、売上ノルマはただの目標にすぎない。
私の目標はノートへの記録を続ける事、そして目的は、ゴールの具現化だ。
馬鹿げてると思われるかもしれない。
2022年の私の抱負は、目標を立てる事だ。
恐れがあってもいい。迷いがあってもいい。言葉の力を信じるしかない。
そして私は百貨店のコスメ売場を思い出す。
若い頃はシャネルやディオールが大好きだった私は、今ではプチプラコスメを愛用しているけれど、朝に弱すぎてメイク時間は十分に満たないけれど、厳しい業種で染髪もネイルもできないけれど、視覚化されたゴールに向けて足を踏み出すのだ。
洗練されたBAの人々の凛々しさを理想に掲げながら。
note特集のテーマに沿って月1更新予定です。
2月のテーマは「わたしのパートナー/猫のいるしあわせ」との事です。よろしくお願いいたします!