【ショートショート】香水トラベル
商店街を歩いていると、見覚えのない店を見つけた。小さな看板には「旅できる香水」と書かれている。誘われるように私は引き戸を開けた。
「いらっしゃい」
出迎えた店主は、想像とは違って渋い顎髭を持ったおじいさんだった。
「旅できる香水屋にようこそ」
店主は私に、目の前にあるソファーに座るように促した。
店内はずいぶんと殺風景だった。無機質な空間に不釣り合いなほど柔らかなソファーが私を包む。ほどなくして、店主が棚から小瓶を取り出し、私にそれを渡してきた。
コルクを開けると、