2021年のキュンチョメ
キュンチョメという芸術家コンビが好きで、2021年の二つの展覧会(というのが正しいのかしら)を幸い両方観ることができた。
「ここにいるあなたへ」春
「クチがケガレになった日、私は唾液で花を育てようと思った」秋
以下は、後者のあと、作家あてに送信したメールの引用だ。
ほとんど言いたいことは上に尽きているが、さすがに本人たちにどのように伝えてよいかわからなかったので、書かなかったことが、一つだけある。
たぶん、キュンチョメの作品群に触れた人の6割がそう思っているのではないかと想像するのだが、
発想が小学生なのだ
これ、いい意味とか悪い意味とかではなく、素直にそう感じる。それもほとんど常に。
個々の作品のコンセプトを列挙することはしないけれど、仮に僕が芸術家だったとして、これらのコンセプトを自作のために採用するかというと、ビビったり、頭掻いたりしながら、やんわり却下すると思うのだ。多分。
あまりにも、余り過ぎるほどシンプルな発想を、実際の作品にまで持ってくるからこそ、凄い。と、ひとまず言えるけど。
いや、それだけではなくて。
コンセプトが生のまま、ごろんと、人と人の間や、キュンチョメの孤独の中に、ほとんど放置されるかのように置かれてあることの厚み、持続性、威力、重質感(最後のは大学時代の詩人の友人の造語)。
毎回、その物質的な確かさに、圧倒的<受け取った>感を受け取って、僕は帰路につく。キュンチョメ!またやってくれたな!
こんな、ひいきのスポーツ集団が真っ向勝負の果てに大会で優勝したような高揚を与えてくれる芸術家は、僕には他にいない。唯一の体験なのだ。
願わくば、来年もかの人たちの作品に出合うことができますように。